世界を知れば日本が見える 第48回

「低所得者なのにディズニーに行こうとするなんて…」いつから夢の国は「格差社会の象徴」になったのか

ディズニーシーの新エリア開業が話題になる中、近年のチケット価格の高騰にも改めて注目が集まっている。ディズニーリゾートが「格差社会の象徴」になりつつあるのは、実は日本だけではない。(サムネイル画像出典:Ned Snowman / Shutterstock.com)

出典元: Ned Snowman / Shutterstock.com
画像出典:Ned Snowman / Shutterstock.com
6月6日、東京ディズニーシーが新しいエリアとなる「ファンタジースプリングス」を開設した。人気映画の『アナと雪の女王』や『塔の上のラプンツェル』などのアトラクション新設は、オープン前からディズニーファンを中心に大きな話題になった。
 
ところが、この新アトラクションの開設のタイミングで、改めて注目されているのが、ディズニーランドとディズニーシーの入場券の高さだ。

いつからチケット料金が1万円を超えたのか

現在、入場料はどうなっているのか。もともと、ディズニーランドが開園した1983年に3900円だった入場料は、その後どんどん値上げされて2020年には8200円となっていた。これでも十分高額だが、2021年からは日にちによって値段が変わる変動価格制となった。さらに2023年10月、混雑する日では大人1日のチケット料金が最大1万900円になり、ついに1万円の大台を超えたことで、心理的にも「また高くなった」という印象を与えているようだ。
 
さらに現在では「年間パス」も廃止され、お得なサービスもなくなった。ただこうした動きは日本の置かれた経済環境などを考えると避けられないものである。しかも今後も値上げは続いていく可能性が高い。

「チケットが高いんじゃなくて、私たちの給料が異常に低い」

入場料などが高くなる流れには、ファンたちがSNSなどで悲鳴の声を上げている。いくつか拾ってみるとこうだ。
 
「ディズニー値上げしすぎて、お金がないと夢すら抱けないこの時代を表してる」というコメントや、「ディズニーのチケットが高いんじゃなくて、私たちの給料が異常に低いんだよ…」なんて声もある。
 
さらにディズニーリゾートでは園内での食事やスナック、お土産などを加えると、かなりの出費になる。そこにも値上げの波は来ていて、園内のレストランのメニューのリニューアルに伴って、結果的にメニューも値上げされることが明らかになっている。不思議の国のアリスをテーマにしたレストラン「クイーン・オブ・ハートのバンケットホール」では、ケーキの値段が7月1日から約2倍になるとして一部ファンの間で衝撃が走っている。
 
その一方で、「ディズニーチケットが安くなった世界がただの地獄だった」「ディズニー、値上げしても、まだ激混みみたいだから、もっと値上げすればいいのに」という声もネット上にはある。

高いチケットであっても難なく購入できる層は、入場料が高くなることで来場者数が減って混雑が緩和されることで、快適に過ごせるようになったと歓迎しているわけだ。

「有料ファストパス」が好調で過去最高益に

2023年度、ディズニーリゾートには約2750万人が来場。2024年3月期の連結営業利益は、前期比で32%増の1467億円となり過去最高益になった。その理由は、追加でお金を払うことでアトラクションに優先的に入場できる「ディズニー・プレミアアクセス」(“有料ファストパス”とも呼ばれる)が好評で、さらにインバウンド客も多かったからだ。
 
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドも、コロナ禍で激減した収益を取り戻すべく、コロナ禍以後は富裕層やインバウンドを狙って収益を増やしたい意図が見える。ただこれは、企業としては当たり前のことをしているだけで、そもそも運営会社のオリエンタルランドが弱体化すれば、サービスが評価されているディズニーリゾートの質自体に影響を及ぼす可能性がある。
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世界中のディズニーランドで、日本だけが異なっていること
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