『前章』の時点で日本のアニメ映画史を塗り替える傑作だと思ってはいましたが、この『後章』の衝撃はそれ以上。涙を搾り取られるような、感情がいい意味でぐちゃぐちゃになるような、とてつもない感動が待ち受けていました。
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前置き1:『ゲ謎』と同等にPG12指定の意義を感じる内容に
すでに『前章』を見た人にとって、この『後章』を劇場で見ないという選択肢はほぼないのですが、それでも念のためお伝えしなければならないのは、「拳銃や刃物による殺傷流血の描写がみられる」という理由でPG12指定がされていること。全年齢指定だった『前章』の時点でもやや大人向けの描写がありましたが、この『後章』はさらに刺激の強い内容になっているのです(ただ、エロティックなシーンはほぼ皆無で、あとはごく軽めの下ネタがあるくらいです)。
そして、同じくPG12指定がされた『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』(Amazonプライムビデオで配信中)がそうだったように、後述する「現実の世界にある問題の苛烈さ」を示すために、残酷描写は作品に必要なものだったと思います。「それだけのショッキングな出来事がある」ことをある程度は覚悟して、劇場に足を運んだほうがいいでしょう。 また、映画館で見るべき内容だとも断言します。特に侵略者の母艦(UFO)の「音波」の迫力、そしてクライマックスの涙腺大崩壊の演出は、間違いなく劇場の環境があってこそ、感動が倍増どころではないからです。
もう一度言いますが、『前章』を見た人が、この『後章』を劇場で見るのはほぼマストです。ただ、『前章』をご覧になったのが小さなお子さんであれば、よく話し合ってから挑んでください。
前置き2:『前章』を見ていなくても理解はできるけど、それでも見ておいてほしい
また、この『後章』は『前章』を見ていなくても理解できる内容になっていると思います。内容は「人類を滅亡へと導く巨大なUFOがやってきた状況での群像劇」とシンプルに説明できますし、キャラクターは個性的ですぐに特徴を覚えられますし、さらには『前章』で起こったことを改めて劇中で「おさらい」するような構造もあるのです。
しかし、それでもなお、『前章』を見てから『後章』に挑むことを強くおすすめします。アニメ映画ではなかなか珍しい「2部作」ならではの構成と、その時間をかけてこそのキャラクター描写があってこその、巨大な感動があるのです。
5月下旬現在でも川崎チネチッタや立川シネマシティなど、『前章』を上映している映画館はあり、いくつかのTOHOシネマズでは『前章』が復活上映もされているので、まだ見たことがないという人は、是が非でも『後章』の前に見ておくことをおすすめします。その価値は間違いなくある作品だと断言しますので……!
<『デデデデ』劇場情報>
さて、ここからは、この『デデデデ』がなぜここまでの大傑作になったのか、本編の内容に触れつつ解説していきましょう。『前章』および『後章』の決定的なネタバレは触れないよう書いたつもりですが、それでも予備知識なく見たい人はご注意ください。