ほかにも期待の漫画の実写映画化作品が続々!
さらに、3月8日に『マイホームヒーロー』も劇場公開されていましたし、5月24日に猫映画の『三日月とネコ』、7月12日に『キングダム 大将軍の帰還』、2024年に『モブ子の恋』が劇場公開予定です。さらには、2025年には『トリリオンゲーム』と『ババンババンバンバンパイア』の実写映画版が公開予定となっています。
そして、大きな話題となったのは『【推しの子】』の実写版。2024年冬にドラマが配信開始&映画が劇場公開予定で、こちらはティザービジュアルの発表時に賛否両論を呼びましたが、本編では果たして……? ちなみに、『【推しの子】』のテレビアニメ版の第1話にあたり、2023年に劇場公開された『【推しの子】Mother and Children』(アニメ第1話の拡大版)が6月17より2週間限定の復活上映も行われます。
また、『はたらく細胞』が武内英樹監督と徳永友一脚本の『翔んで埼玉』タッグでの実写映画化が発表されていますが、映像やキャストや公開日は未公開です。
さらに、『ワンパンマン』と『僕のヒーローアカデミア』という日本初のヒーローものがハリウッドでの実写映画化が進行中ですが、こちらも映像やキャストや公開日は未定。アニメ映画も有名な『AKIRA』もハリウッド映画化が発表されているので、続報を待ちたいところです。
さらに、映画ではなくドラマですが、『磯部磯兵衛物語 ~浮世はつらいよ~』が7月12日にWOWOWで放送・配信、『幸せカナコの殺し屋生活』 がDMM TVで今冬に配信予定となっています。
結論:「キャスティング」「原作からの映画へのコンバート」が重要
総じて、このように漫画の実写映画化企画で重要なのは、「キャスティング」と「原作からの映画へのコンバート」だと改めて思えます。そもそも漫画はギャグ作品に限らずデフォルメした表現もあるため、全く異なる表現である実写化のための工夫は必須ともいえます。
極端な印象のあるキャラクターも体現できる俳優のキャスティングはもちろん、その俳優の役作りが重要になるのも当たり前のこと。原作の再現にこだわりすぎるがあまり度を越したコスプレ感が出てしまったり、ミスキャストがされたりすると、「もう見た目の時点でダメ」と厳しい判断をされかねないのが現状でしょう。
しかしながら、これまで挙げた10作品(特に筆者が実際に本編を見た5作品)は、見た目で違和感を覚えるところはほとんどなく、原作をそのままトレースするのではない映画独自のアレンジも確実にプラスになっていて、キャスティングは文句のつけようがなく、何より実写ならではの「今しかない俳優の魅力を切り取る」魅力に満ち満ちていました。『赤羽骨子のボディガード』は白い衣装が極端ではありますが、コメディー寄りの作品なので「アリ」と思う人も多いでしょう。
また、連続ドラマでは物語を紡ぐための時間の余裕があり、Netflixで配信中の『ONE PIECE』はだからこその“原作の再構築”も見事でした。対して、映画では約2時間で物語を収めなければならない制約もあり、それでこそ原作のエッセンスを凝縮させることにも、漫画の実写映画化の面白さがあると、個人的には思います。
過去には批判されることも多かった漫画の実写映画化作品というジャンルにおいて、その印象をさらに払拭する傑作がこれからも生まれることを、大いに期待しています。
この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「CINEMAS+」「女子SPA!」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。