ヒナタカの雑食系映画論 第90回

『猫の恩返し』が大好きな人に見てほしい。最新「猫映画」5作品でほっこり癒されまくろう

金曜ロードショーで『猫の恩返し』が放送されることを記念して、2020年以降に公開された最新「猫映画」おすすめ5作品を紹介しましょう。猫の気ままっぷりに、ほっこりと癒されるかも。(サムネイル画像出典:(C) 2002 Aoi Hiiragi/Reiko Yoshida/Studio Ghibli, NDHMT)

3:『猫は逃げた』(2022年)


5月31日に実写映画版『からかい上手の高木さん』の公開が控える今泉力哉が監督を、『アルプススタンドのはしの方』の城定秀夫が脚本を務めた作品で、直接的な性描写のためにR15+指定がされた大人向けの内容です。主人公夫婦はどちらも不倫をしていて離婚寸前という、まったく褒められたものではない状況で、その後も人間関係がこじれにこじれます。

物語を大きく動かすのは、「飼い猫をどちらが引き取るか」でもめること。その先には「子はかすがい」ならぬ「猫はかすがい」的な、人間同士の不和を、猫という存在はつなぎ止めてくれるのかもしれないという可能性や希望も提示されるのです。会話劇それぞれが面白く、特に終盤で主要登場人物4人が集結する「修羅場」での、正論のようでズレているそれぞれの言い分に吹き出してしまう人も多いでしょう。各配信サービスで見放題配信中です。

4:『ルー、パリで生まれた猫』(2023年)


パリに住む10歳の少女が主人公で、屋根裏で生まれたばかりのキジトラの子猫との交流と、その両親の不仲を気にする様が並行して描かれるドラマです。とにかく猫と少女それぞれがとてもかわいらしく、森の別荘での生活での、厳しいようで本質的には優しいおばあさんとの関係も大きな見どころです。

物語はやや平坦なところがあるものの、まさかのイノシシも交えたハラハラドキドキのアクションが展開されるなど、よくぞ撮影に成功したと感心できる画が多く飽きさせません。犬の名前が「ランボー」だったり、『ジュラシック・パーク』や『E.T.』のオマージュが込められていることも、映画ファンにも見逃せないポイント。自由な生き方ができる猫の姿から、「束縛をしない」「従属しすぎない」価値観の大切さも改めて確かめられるでしょう。現在はレンタルで配信中です。

5:『劇場版 ねこ物件』(2022年)


猫付きシェアハウスを舞台にしたテレビドラマの劇場版ながら、これまでのあらすじや人間関係は劇中で分かりやすく説明されており、この映画単体で楽しめます。2匹の猫と暮らす30歳の青年が、入居者を募りつつ、幼い頃に離ればなれになった弟を捜索する物語で、SNSの活用方法がなかなかリアルで学べるところがあります。

猫がかわいらしいのは言うまでもなく、変人だけど独特の優しさを見せ、時に厳しいところもある主演の古川雄輝もまたキュート。主人公の幼少時におじいちゃんが猫との付き合い方や生き方について金言といえる言葉を投げかけたり、シェアハウスでのより良い生き方や関係性の理想の1つを目の当たりにできるのも、本作の意義でしょう。ミステリーとしても、安易な予想をさせないツイストが効いています。各配信サービスで見放題配信中です。

そのほかにも、注目の猫映画が続々!

ほかにも、2017年に日本公開された『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』は、薬物依存にも真摯(しんし)に向き合った実話ベースの映画で大評判となり、2022年には続編『ボブという名の猫2 幸せのギフト』も公開。こちらは老若男女が楽しめるクリスマス映画として支持を集めています。
 

また、2023年末に公開された『屋根裏のラジャー』は、ジンザンという猫が頼れるかっこいい存在として観客から愛されました。山田孝之の声が『猫の恩返し』と雰囲気が全く異なる猫にハマっていることも見逃せません。同作は2024年後半にNetflixでの世界配信が発表されています。
 

さらに、2022年公開の『すずめの戸締まり』のダイジンも多くの人から愛されました。アニメで描かれる猫のかわいらしさやいじらしさを突き詰めた存在ともいえるでしょう。こちらもNetflixで見放題配信中です。
 

さらに、4月26日より劇場公開中の『ゴジラxコング 新たなる帝国』におけるゴジラの動きやしぐさ、特にローマのコロッセオで丸まって眠る姿は、監督の飼い猫が元ネタなのだとか。もちろん猫映画ではないのですが、「猫みたいでかわいいゴジラ」にもぜひ注目してほしいのです。
 

さらに、これから公開の猫映画の注目は、5月24日公開の『三日月とネコ』。同名コミックの映画化作品で、恋人でも友人でもない関係性の3人の大人たちと、猫がおりなす共同生活を描いているようです。
 

そして、猫映画の多くで共通しているのは、やはり猫の「自由の気まま」な性質をポジティブに描いており、その様が一緒に暮らす人間にも良い影響を与えているということ。自分勝手でわがままと悪い言い方もできるはずなのに、それでも愛らしく思えるし、なんなら癒される猫は、なんと豊かで素晴らしい存在なのだとも、改めて思えるかもしれませんよ。

この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「CINEMAS+」「女子SPA!」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。
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