ヒナタカの雑食系映画論 第91回

GWの映画館は『名探偵コナン』のひとり勝ちだったのか。アニメ映画の観客を「他作品」に呼び込む重要性

『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』の興行収入が、120億円を超える超大ヒット記録を更新中。まさにGWで「ひとり勝ち」ともいえる状況ですが、それを踏まえた上での未来への期待を語ります。(※サムネイル画像出典:(C)2024 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会)

コナン
(※サムネイル画像出典:(C)2024 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会)
『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』が公開22日目の5月3日の時点で、興行収入105億円を突破したと発表されました。
シリーズアニメが2作連続で100億円を突破したのは邦画史上初とのこと。永岡智佳が女性で初めて日本で興行収入100億円を達成した監督となったことも話題になりました。

さらに、公開25日目の5月6日までの累計成績は興行収入120.99億円に。前作超えはもちろん、最終150億円超えもあり得る、ゴールデンウイーク(以下、GW)の文句なしの覇者となっています。

しかも、同じく青山剛昌の漫画が原作、『名探偵コナン』の世界観とキャラクターがクロスオーバーしている『YAIBA』のアニメ化が発表。こちらと合わせて、さらに国民的なコンテンツとしての人気を不動のものにするかもしれません。

まさに「コナン一強」、それでも『ハイキュー!!』が大記録を達成

2023年のGWは、最終の興行収入138.8億円の記録を打ち立てた『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』に加えて、最終140.2億円の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』がぶつかりあったこともあり、映画館は日本史上最高の大盛況となりました。

対して、2024年のGWは『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』の「ひとり勝ち」ともいえる状態。2位以下の映画を大きく引き離して、4週連続で1位を記録したのですから。

しかし、2月に公開された『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』もこのGWに大記録を達成しました。4月30日までの75日間で興行収入は100億円を見事突破。さらに5月6日までの81日間の累計の興行収入は103.34億円となったのです。

『ハイキュー!!』の熱心なファンの母数がとてつもなく多く、さらには入場者特典が第6弾まで配布されていた(5月18日より第7弾も配布予定)ことも、たくさんのリピーターの獲得につながったのは間違いありません。100億円達成を記念してWeb公開された、屋外広告を再構成した動画も大好評を博しています。
 

100億円突破の連続で感覚がマヒしている?

さらに、『ハイキュー!!』と同じくスポーツを題材としたアニメ映画『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』は公開3週目で12億円を突破するヒットとなっています。

『ハイキュー!!』や『名探偵コナン』が何しろ100億円を突破しているので、12億円という数字も少なく思えるかもしれませんが、それはもう感覚のマヒといっていいかもしれません。

そもそも、日本の映画の興行収入の歴史上、100億円を超えた日本のアニメ映画は、その『ハイキュー!!』や『名探偵コナン』を含めて16本のみ。実写映画を含めると19本しかありません。

さらには、2020年のご存じ『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』における400億円超の大ヒット以降、2021年の『劇場版 呪術廻戦 0』、2022年の『ONE PIECE FILM RED』『THE FIRST SLAM DUNK』と、国民的な人気を誇る作品のアニメ映画の100億円超えの超大ヒットは、この4年ほどで勢いを増しています。

日本の映画が「興行収入10億円を突破すればヒット」と呼ばれていたこととはあまりにギャップのある、その数字の異次元ぶりに観客が慣れつつあることも、またとんでもないと思うのです。
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アニメ映画と他作品の「格差」をどうすべきか
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