ヒナタカの雑食系映画論 第93回

2024年は漫画の実写化映画の当たり年!? 『シティーハンター』など10作品から「成功の理由」を考える

Netflixで配信中の『シティーハンター』が好評を博している今こそ注目してほしい、2024年に公開される漫画の実写映画化作品の傑作&期待作を一挙に10作品紹介し、さらに実写化成功の理由も考えてみます。(※サムネイル画像出典:(C)北条司/コアミックス 1985)

5:『違国日記』6月7日に劇場公開


両親を亡くした15歳のめいと、歳の差20歳の共同生活を始める物語で、何よりの目玉は主演の新垣結衣が小説家らしい理屈っぽい話し方をする変人にハマりまくりで愛おしいことでしょう。「美人」で「掃除が苦手」で「ダメなところ」もあり「言動がキツく思える時もある」けど「本質的には優しい」多層的なキャラクターは、「じわじわ」と好きになれること間違いなしです。

もう1人の主人公である少女を演じたのは、オーディションで選ばれた新人・早瀬憩。役が実年齢に極めて近い、今だからこその説得力と存在感、そして「寂しさ」を主体にした感情の揺れ動きは、実写ならではの大きな魅力でした。初めこそギクシャクしていた新垣結衣との関係性が変化していくところが見どころなのはもちろん、夏帆や瀬戸康史という大人同士の掛け合いも強い印象を残すはずです。

原作の小さく淡いエピソードが積み重ねっていく印象そのままに、11巻のボリュームの原作を映画に落とし込むための取捨選択も的確だと、個人的には思えました。そして、「完全に理解をしなくても寄り添える関係性」を紡いだ物語が救いになる人は多いでしょう。

さて、ここからは筆者はまだ本編を未見ではありますが、これから劇場公開される期待作を、テンポよく紹介していきましょう。

6:『からかい上手の高木さん』5月31日に劇場公開


地上波放送&Netflixで配信中のドラマに引き続き、監督を務めたのは『愛がなんだ』『街の上で』などの今泉力哉。描かれるのは原作では空白の時間に当たる2人の10年後における再会の物語で、母校で体育教師として奮闘する青年・西片の前に、高木さんが教育実習生として現れる物語になっているのだとか。

初共演を果たした永野芽郁と高橋文哉。原作者の出身地であり物語の舞台である、小豆島で全編を撮影した「ご当地映画」の魅力にも期待しています。

7:『先生の白い嘘』7月5日に劇場公開


原作は男女間の性の格差を描いて反響を呼んだ作品。女であることの不平等さを感じながらも、そのことから目を背けて生きてきた高校教師と、婚約をした親友、性の悩みを打ち明けてきた男子生徒との関係性を描く内容になっているようです。

主演の奈緒はもちろん、三吉彩花、「HiHi Jets」の猪狩蒼弥、風間俊介というキャスティングがどのような化学反応を起こすのでしょうか。レーティングはR15+指定となっており、地上波のドラマではできない表現にも期待できます。

8:『赤羽骨子のボディガード』8月2日に劇場公開


とある事情から100億円の懸賞金をかけられた幼なじみの女性を守るため、ボディガードとなった高校生が奮闘するという、かなり奇抜な設定の学園アクションコメディーです。

「Snow Man」のラウールが主演を務め、出口夏希、奥平大兼、高橋ひかる(※高ははしごだか)らが共演。監督は『変な家』の石川淳一。予告を見た限り、その設定以上に「ぶっ飛んだ」映像と表現も見どころになっていそうです。

9:『ブルーピリオド』8月9日に劇場公開


周りの空気を読んで流れに任せて生きてきた高校生が、1枚の絵をきっかけに美術の世界に全てを賭けて挑んでいく青春劇で、主演は眞栄田郷敦、共演は高橋文哉、板垣李光人、桜田ひよりと、旬の実力派キャストがそろっています。

監督は『サヨナラまでの30分』でも青春映画を、『東京喰種 トーキョーグール』の実写映画も手掛け、高い評価を得た萩原健太郎。どのように原作の「好きなことに真剣に向き合う」「天才」の物語を映画で表現するのかにも注目です。

10:『夏目アラタの結婚』9月6日に劇場公開


元ヤンキーで児童相談所に勤務する30代の独身の男が、なんと連続殺人事件の容疑者である死刑囚との結婚を申し出るという、これまたとんでもない設定の物語。主演は柳楽優弥と黒島結菜。監督は『20世紀少年』『BECK』でも漫画の実写映画化を手掛けた堤幸彦です。

柳楽優弥いわく、「この作品は『もしかしたらありえるかもしれない……』という、ファンタジーとリアリティーのギリギリのラインを攻めているところが個人的にはすごく面白いなと感じています」だとか。どのような「危険」な作品になるのか、期待しています。
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