失踪者が帰ってきたら、それはそれで波紋が広がる映画も
ここまで親しい人が「いなくなった」ことで物語が動く作品を紹介してきましたが、そのいなくなった人が「帰ってきてから」がまた大変だったりする映画も2作品紹介しておきましょう。『波紋』(2023年)……怪しい宗教にハマったパート主婦と、妻と息子を捨てた上にガンを患ってから帰ってきた夫、さらに彼女を連れてきた息子という、3者の愛憎入り交じる心理バトルが展開するドラマ……というよりもほぼほぼブラックコメディーです。
『LOVE LIFE』(2022年)……矢野顕子の同名楽曲をモチーフにした作品。取り返しのつかない悲しい出来事を経て、失踪した元夫との関係も踏まえ、ある究極の選択をしていくドラマです。
5月公開の『ミッシング』にも大期待
今後の失踪ミステリー映画の大期待作は、2024年5月17日予定の石原さとみ主演の『ミッシング』でしょう。あらすじは、娘が3カ月も失踪してしまい、夫とは事件に対しての温度差からケンカが絶えず、その最中に推しのアイドルのライブに足を運んでいたことから、インターネット上で「育児放棄の母」と誹謗中傷の標的となってしまうという、聞くだけに苦しくてつらくてしんどいものです(褒めています)。
監督・脚本は日本映画界でも屈指の「見たくない(ある意味で見たい)醜くて恥ずかしい姿を丹念に見せる」意地悪でドSな作家性を持つ吉田恵輔。『空白』(2021年)、『神は見返りを求める』(2022年)に続き、この豪華キャストでどんな生き地獄を見せてくれるのか、今から楽しみ(?)にしています。
この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「CINEMAS+」「女子SPA!」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。