中小事務所とアイドルが頭を抱える「精算問題」
ゆりこ:クリエイティブやマーケティングにかける資金力の差は否めません。しかし、今は多額の費用をかけて広告を出稿すれば売れる時代でもなく、SNSの力を借りることもできます。時流にあったマーケティング戦略と曲1つで“ブレークする”ことは可能。FIFTY FIFTYがまさに好例です。ただ、課題はそれを「キープすること」とメンバーやスタッフの“モチベーション”と“不満”を「コントロールすること」だと考えています。
矢野:それもFIFTY FIFTYの騒動につながりますね。
ゆりこ:中小事務所も資本力はピンキリで線引きが難しいですが、安定的に稼げる看板アーティストがいない、設立して間もないような小規模事務所の場合でよく見受けられるのは「精算問題」です。
矢野:「精算」って、これまでかかったお金を返せ……と?
ゆりこ:はい、そうです。練習生時代にかかった生活費やレッスン費は基本的に事務所が支払うので、大手はともかく零細企業にとっては大きな負担なのです。それをデビュー後の“貸し”のようにして、世に出てから売れても一定期間は無給・薄給で働かせるケースもあります。時によっては年単位で。それがときにトラブルのもとにもなります。
矢野:売れなければ資金回収ができず死活問題ですし、売れても事務所の対応次第ではアイドルに不満が募る。難しい部分ですね。K-POP練習生のシステムや「精算」についてはもっと知りたいところです。
ゆりこ:根深い問題が残る部分ですし、時代による変化もあるはずなのであらためて最新事情を取材してみたいですね。
【ゆるっとトークをお届けしたのは……】
K-POPゆりこ:韓国芸能&カルチャーについて書いたり喋ったりする「韓国エンタメウォッチャー」。2000年代からK-POPを愛聴するM世代。編集者として働いた後、ソウル生活を経験。
編集担当・矢野:All Aboutでエンタメやメンズファッション記事を担当するZ世代の若手編集者。物心ついた頃からK-POPリスナーなONCE(TWICEファン)。