今期の冬ドラマでは、志田彩良さん、影山優佳さん、眞島秀和さん、佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS from EXILE TRIBE)さん、小野花梨さんらが2つのドラマに出演。それぞれの作品で演技を披露しています。
今回は、複数のドラマになぜ同じ俳優が掛け持ちで出演しているのか、スケジュールはどうしているのか? など、元テレビ局スタッフの筆者がその裏側を解説していきます。
テレビ業界に存在する“鉄則ルール”って?
まず、テレビ業界には「裏かぶり」が原則禁止というルールがあります。同時刻に同じタレントが局をまたいで番組に出演しないようにするもので、編成や制作などはかぶらないように出演者を調整します。タレント事務所も不要なトラブルに巻き込まれないよう、スケジュール管理を徹底。急に、大型の特別番組で人気の芸人などが画面から消えることもあり、この裏かぶりのルールを知っている視聴者も多いのではないでしょうか?
裏かぶりはCMスポンサーへの配慮がメインとなり、どれだけ技術が進歩してもテレビ業界では鉄則のルールになります。
ドラマでも「掛け持ちNG」は暗黙のルールだった?
さて、ドラマにも似たようなルールがありました。以前ならば、原則的には同じクールの作品を掛け持ちしないという暗黙のルールがあり、特に主演に関してはかぶりがないように調整されます。裏かぶりに近いもので、CMスポンサーはドラマに対して広告料金を支払うわけなので当然のルールとなります。また、作品ではそれぞれの俳優が役を演じるので、視聴者の思い入れが分散することになります。とはいえ、ここ数年で同じクールで出演作を掛け持ちする俳優が多くなりました。その理由の1つとしては、ドラマ枠が急増したからだと考えられます。2023年秋の番組改編では、フジテレビ「金曜21時台」のドラマ枠が約54年ぶりに復活。同じく、テレビ朝日や日本テレビなどもドラマ枠を増やしています。
その要因には、TVerをはじめとした見逃し配信サービスが人気となり、新たな視聴層の獲得ができるようになったことがあげられます。また、ヒット作となれば映画化をはじめ、DVDなどでの販売も可能。バラエティや情報番組よりも収益の可能性が高く、有効なコンテンツとして各局が利用できるからです。
ドラマ枠が増えたことで、役を演じる俳優の奪い合いが起きています。主演はもちろんのこと、作品のクオリティを考えれば、脇役もしっかりとした俳優を確保したいところ。それに、少しでも話題性があり、視聴者を引き付けてくれる俳優をキャスティングしたいと制作陣は考えます。