40歳未満のアメリカ人、6割以上が「将来に悲観」
世界では、自分の近い将来に希望を持っている若者が少なくない。ギャラップとウェルビーイング・フォー・プラネット・アース(WPE)財団が、先進国や貧困国までの若者に対して5年後の生活を10段階(10が最良)で予測してもらった調査では、世界全体では平均値が7.5だった。つまり、世界的には将来をポジティブにみている人が圧倒的に多いのである。ただ、未来に肯定的な人ばかりでもない。特に比較的豊かな先進国では、現場を否定的に見る人は多い。例えば、アメリカの世論調査会社シビックスの調査では、アメリカ人の40歳未満の66%がアメリカの将来について悲観的な見方をしている。その理由には、政治への不信感や格差、医療問題、学生ローンの負担問題などが挙げられている。ちなみに学生ローンの返済免除問題とは、若者世代の生活を苦しめている学生ローンの返済免除をバイデン政権が掲げているが、思うように進んでいないため不満が噴出しているのだ。
新型コロナ禍を経て、不安感はさらに顕著に
それ以外でも、例えばカナダ。レジェ・マーケティングの調査では、カナダの40歳未満のうち60%以上が、今後の経済状況が良くなると見ておらず、53%が自分の社会的・経済的な地位が将来的に低下するのではないかと見ているという。ただそれでも、未来に希望を感じない人の割合は日本ほどは高くはない。ただ、直近で見れば、若者の見方は新型コロナ禍を経て、変化しているようだ。以前よりも、未来に希望を持てない若者は増えているという。コンサル企業マッキンゼーの分析では、Z世代(40歳未満)の若い層は「世界に対して悲観的な見方をしている」と指摘されている。
そしてその傾向は、新型コロナ流行後に顕著になっている。マッキンゼーの分析はこうだ。「若者層の中には、人生において最も発達期に、未曽有のコロナ禍を経験し、孤独に直面し、日常生活に困難をきたすようになった人々が多くいる。さらに、世界的な動乱や経済の過熱も重なり、就職の先行きが不透明になっていることも要因と見られる。それにより、不安症の増加、職場での不安感、住宅購入や退職などの『人生の大事な目標』を達成できないのではないかという懸念をもっているのだ」