世界を知れば日本が見える 第37回

【パーティー券問題を分かりやすく解説】そもそも政治資金パーティーでは何が行われているのか

パーティー券を巡る裏金問題とは何か。そもそも政治資金パーティーでは何が行われ、なぜ違法ではないのか。自民党の派閥から不正問題の詳細に至るまで、分かりやすく解説する。

パーティー券問題とは
パーティー券問題を分かりやすく解説
いまパーティー券を巡る裏金問題が日本の政界を揺るがしている。
 
“パー券問題”は、すでに現役の閣僚が職を追われている。松野博一官房長官や西村康稔経済産業大臣、鈴木淳司総務大臣、宮下一郎農林水産大臣の4人が閣僚を辞任。さらに、世耕弘成参議院幹事長も辞任し、与党の自民党でも、萩生田光一政務調査会長と、高木毅国会対策委員長が辞任することになった。
 
このスキャンダルはまだ拡大していく可能性がある。東京地検特捜部が50人体制で捜査を進めており、強制捜査にも乗り出すと見られている。自民党ひいては岸田政権の混乱はしばらく収まらないだろう。そこで、このパーティー券問題について基本的なところからひも解いてみたい。

そもそも「自民党の派閥」とは何か

まず今回の問題を理解するのには、自民党の派閥というものについて知っておく必要がある。自民党内には、特定の政治家のもとに議員が結集していて、いくつかの派閥を形成している。現在、自民党には、岸田派(宏池政策研究会) 、安倍派(清和政策研究会)、麻生派(志公会)、茂木派(平成研究会)、二階派(志帥会)、森山派(近未来政治研究会)という派閥が存在する。
 
今回の問題は、安倍派と二階派、茂木派、麻生派、岸田派が、2021年までの4年間で、政治資金収支報告書に記載することが義務になっている政治資金パーティーの儲けを少なく記載していた疑いが出ている。さらにその儲けの一部を議員がキックバックとして懐に入れていた。要は、パー券を売りさばいて稼いだ金額を、正しく報告せず、ちょろまかしていたのである。

政治資金パーティーは何のために行われている?

そもそも、政治資金パーティーとは何なのか。筆者も国会議員からの誘いで、何度かパーティーに参加したことがある
 
政治資金パーティー自体は違法ではない。政治家は、政治活動のために政治資金パーティーと寄付によって、資金を集める。それらの資金については、透明性を保つため、政治家たちが記録して報告をするよう求められている。今回、それが適切に行われていないことが明らかになった。
 
各派閥は、年に1度、政治資金パーティーを開催する。パーティーに参加するためのチケット(パーティー券)の料金は多くの場合、1枚2万円が相場。企業が多くの枚数をまとめて買ったり、支持者が購入したりする。そこで得られた収益は、派閥の政治活動費に回されていく。
 
パーティー自体は、立食形式でアルコールが提供され、派閥所属の有力議員のあいさつなどもある。会場では議員らと直接話ができたり、一緒に記念撮影を行ったりすることもできる。現在、安倍派と呼ばれる清和政策研究会のパーティーでは、安倍晋三氏と一緒に写真を撮るのに人だかりができていたくらいだ。
 
そんなパーティーの売り上げがごまかされ、さらに、キックバックという不正行為が常態化していたことが今回批判されているわけだ。
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今回の不正行為で特に問題になっていること
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