世界を知れば日本が見える 第35回

トラブル続きの「ブッキングドットコム」。大規模クレカ被害はなぜ起きた? 利用者ができる「対策」とは

ブッキングドットコムがサイバー攻撃による不正アクセス被害を報告し、観光庁が利用者に向け「注意喚起」を発表。全世界に及ぶ大規模な被害はなぜ起きたのか。(サムネイル画像出典:Savvapanf Photo / Shutterstock.com)

ブッキングドットコム
ブッキングドットコムの「不正アクセス」では何が起きたのか(画像出典:Savvapanf Photo / Shutterstock.com)
最近、世界最大級の宿泊予約サイト「ブッキングドットコム」が、たびたびトラブルを起こしている。
 
まずは未払い問題。9月からメディアでブッキングドットコムが、同サイトで仲介している宿泊事業者に対する支払いが遅延していると指摘されるようになった。同社は、「システム更新により一部でのみ支払いが遅延している」という説明をしたことで批判が噴出し、未払いになっていた宿泊施設のオーナーら10人が総額およそ3600万円の賠償を求める裁判を起こした。ただ11月10日には、ほぼ全ての支払いが完了しており、補償金も支払われていることが報じられている。

不正アクセス被害、一体何が起こったのか

またそんなタイミングで、ブッキングドットコムに新たな問題が浮上した。11月15日、観光庁が「Booking.com利用者へのフィッシング被害に関する注意喚起」を発表。それによると「Booking.com社が提供し、宿泊施設で管理する宿泊予約情報管理システムが不正アクセスを受け、一部の旅行者に対してクレジットカードなどの情報を求めるフィッシングサイトへ誘導するメッセージが配信される事案が発生しているとの報告を受けました」という。
Booking.com利用者へのフィッシング被害に関する注意喚起
観光庁が発表した「Booking.com利用者へのフィッシング被害に関する注意喚起」(画像出典:観光庁
つまり、ブッキングドットコムが仲介先の宿泊施設に提供する管理システムがサイバー攻撃を受け、過去に同サイトから予約を行っていた利用者のメール情報が漏れた可能性があるという。それに対して、観光庁が注意を行ったのである。
 
ただ一般利用者には、何が起きたのかが分かりにくい。そこでこの不正アクセスでは何が起きたのか、そして一般の私たちにどんな影響があるのかを考察したい。
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サイバー犯罪者の手口は?
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