ヒナタカの雑食系映画論 第50回

“普通の映画”では物足りない、刺激中毒な人に「過激コメディーの傑作5選」を見てほしい【2023年最新】

2023年公開の過激なコメディー映画を5作品紹介しましょう。「限界ギリギリ」を攻めた笑いを求める大人におすすめですよ。(サムネイル画像出典:『スラムドッグス』(C) UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

5:『バビロン』(Netflixで見放題配信中)

『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督が1920年代のハリウッドの「狂乱」を描く、R15+指定上等といわんばかりの過激さとハイテンションで、3時間9分の上映時間を一気に駆け抜けるような一大巨編です。冒頭から「あるもの」をぶちまける様からして強烈で、当時のコンプライアンスを無視しまくった撮影現場のあれこれは「ひどすぎて笑ってしまう」勢い。劇場公開時には「汚いラ・ラ・ランド」「漫☆画太郎が撮ったニュー・シネマ・パラダイス」と呼ばれたりもしていたことにも納得です。

映画の夢に魅せられた純粋な青年、常に全力で挑む新人女優、サイレント映画の大物俳優という、実質的に3人いる主人公が「めちゃくちゃな時代の流れに翻弄(ほんろう)されてしまう」物語は、それぞれが切なく感情移入しやすかったりもします。「好きなことに情熱を捧げると引き換えに、失ってしまうものがある」という、『セッション』などにもあったチャゼル監督の作家性が貫かれていることにも注目です。

過激なコメディー映画の名作はこれ以前にも盛りだくさん!

これよりも以前に公開された過激なコメディー映画のおすすめも一挙にあげてみましょう。

『サウスパーク/無修正映画版』(1999年)……アニメ作品ながら時事ネタや下ネタにも鋭く突っ込んでいる
『チーム★アメリカ/ワールドポリス』(2004年)……人形劇ながらエログロなギャグが全開で堂々のR18+指定
『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』(2007年)……グロありありで警官コンビの活躍を描く、“この田舎がイヤだ”映画でもある
『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』(2008年)……映画撮影かと思ったら本物の戦場でした
『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(2009年)……結婚式前夜に飲み明かしていたらまさかの事態に
『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』(2010年)……心優しいおじさんの恋物語?
『宇宙人ポール』(2011年)……未知との遭遇を下ネタマシマシで描く
『テッド』(2012年)……しゃべるクマのぬいぐるみが下ネタをぶちまける
『21ジャンプストリート』(2012年)……高校に潜入捜査をする警官コンビの活躍
『ゾンビーワールドへようこそ』(2015年)……ボーイスカウトがゾンビに立ち向かう!
『ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ』(2015年)……「映画の中なら死んだ女優の母に会える」感動ドラマの要素も
『デッドプール』(2016年)……アメコミヒーロー映画ながらグロもあり
『ソーセージ・パーティー』(2016年)……エログロに振り切った3DCGアニメでクライマックスが特にヤバい
『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(2019年)……親友コンビがパーティーに参加するため大奮闘
『グッド・ボーイズ』(2019年)……下ネタがちりばめられた少年たちの冒険物語
『ヴィーガンズ・ハム』(2022年)……過激派ヴィーガンをハムにしちゃう発想からして危険すぎる!

過激なコメディーだけど全年齢指定かつアカデミー賞受賞&ノミネート作も!

他にも2023年には「G(全年齢)指定でいいの?」と思えるほどに攻めたギャグのあるコメディー映画が公開されていました。

その1つが『逆転のトライアングル』。第95回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞にノミネートされており、さぞ格式高い映画なのでしょう……と思いきや、クセ強めな人間が乗り合わせた船が難破する流れで、弱肉強食の醜い争いが勃発するブラックコメディーであり、劇場公開時には「汚いタイタニック」と呼ばれていました。
 
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は第95回アカデミー賞で作品賞を含む7部門を受賞した超話題作でしたが、あまりにバカバカしい(褒め言葉)戦いの連続から日本のギャグ漫画『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』や『ボボボーボ・ボーボボ』(ともに集英社)を思い出す人が続出。そのクセの強すぎるギャグおよび作風のためか日本ではかなりの賛否両論となりましたが、家族のドラマとしても感動的に仕上がっていました。
 
前述した『バビロン』も第95回アカデミー賞で作曲賞、美術賞、衣装デザイン賞の3部門にノミネートされていましたし、こうした過激なコメディーもまた世界中で称賛を受けるというのも映画の豊かさの1つだと思います。時には現実のモラルから離れ、思いっきり不謹慎なギャグにゲラゲラと笑ってみるというのも、いい体験になりますよ。

この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「CINEMAS+」「女子SPA!」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。
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