参考:イスラエルとハマスはなぜ対立しているのか、日本への影響は?
そんなイスラエルとハマスの紛争は、現実の戦闘を超えてサイバー空間でも発生している。しかも、日本も攻撃の対象になっていることはあまり知られていない。そこで本記事では、今回の紛争にからんでサイバー空間で何が起きているのかを見ていきたい。
ミサイル警告アプリが攻撃対象に
10月7日の大規模攻撃を発端に、ハマスを支持する勢力によるイスラエルへのサイバー攻撃が顕著となっている。イスラエルではパレスチナの武装勢力によるミサイル攻撃などがしょっちゅう起きているため、国内に向けて発射されるミサイルなどの飛来を警報するアプリがいくつか存在する。日本の「Jアラート(全国瞬時警報システム)」のようなアプリだ。
中でも利用者の多いアプリ「Red Alert」がサイバー攻撃の標的となり、メッセージが改ざんされた。「核兵器が飛来するので警戒」というメッセージが通知される事態になった。
この攻撃を行ったのは「AnonGhost」と呼ばれるサイバー攻撃グループだ。AnonGhostは、10年近く活動が確認されている反イスラエルの組織。主に抗議や妨害活動としてWebサイトの改ざんなどを行ってきた国際的な集団で、過去にはイスラム武装組織「IS(イスラム国)」との関係が指摘されたこともある。
またイスラエルの空軍基地がサイバー攻撃に遭い、パイロットなどの情報が盗まれたとの話も出ている。ハマスを支持するいくつものサイバー攻撃グループはさらに、イスラエル国内の電力や水道施設などへのサイバー攻撃を画策しているとの情報も伝わっている。ただイスラエルはサイバーセキュリティの分野では世界でも評価が高いので、そういったインフラ施設がそう容易に侵害されるとは考えにくい。