世界を知れば日本が見える 第34回

日本にも飛び火、イスラエルとハマスの「サイバー攻撃合戦」で何が起きているのか

イスラエルとハマスの紛争は、サイバー空間にも拡大している。あまり知られていないが、日本も攻撃対象になっている。具体的にどのような手口なのだろうか。

サイバー空間で活動する組織も参戦

今回のイスラエルとハマスの紛争では、サイバー空間でAnonGhostのような「ハクティビスト」組織が数多く参戦している。

ハクティビストとは、サイバー攻撃を実施する「ハッカー(サイバー攻撃者)」と、抗議活動などを行う「アクティビスト(活動家)」という言葉を足した造語である。つまり、世界の出来事に抗議活動を行うサイバー攻撃者のことを指す。

ハクティビスト集団の主な手口

DDoS攻撃を仕掛けるハクティビスト集団(画像はイメージ)
DDoS攻撃を仕掛けるハクティビスト集団(画像はイメージ)
ハクティビスト集団の攻撃手口は、主に「DDoS(ディードス)攻撃」と呼ばれる手法と、Webサイトの改ざんが多い。

DDoS攻撃とは、標的のWebサイトやサーバに大量のデータを送ることで負荷を与え、サイトなどの機能を止めてしまうものだ。Webサイトの改ざんは、公開されているサイトを書き換えてしまう攻撃をいう。

基本的にはWebサイトで直接ビジネスをしているようなオンラインショップなどは直接損失が出るが、それ以外では嫌がらせの域を出ない。ただそれでも、抗議のメッセージを示すことができる。

今回、AnonGhostのようにイスラエルを敵視して攻撃を行っている(または反イスラエルであることを表明している)組織は、11月はじめの段階で、実に118グループもある。逆に、親イスラエルとしてハクティビスト活動をしているのは、19グループだ。

イスラエルを狙った攻撃では、イスラエルの政府機関や民間企業が次々と攻撃に見舞われた。「Cyber Army of Palestine」と名乗る組織は、医療系のWebサイトやオンラインショッピングサイトを改ざんした。
パレスチナのハッカーに改ざんされたイスラエルのショッピングサイト
パレスチナのハッカーに改ざんされたイスラエルのショッピングサイト
さらに誰でもイスラエルに対してDDoS攻撃を行うことができるツール「Toffan」やその利用方法についての情報を無償で提供している。
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ロシア拠点のサイバー犯罪集団も参戦
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