田口智久監督が、それらの細田守監督による『デジモン』のアニメ映画をリスペクトしつつ、今作の『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』では、ダークかつホラー的な面もある自分自身が持つ作家性へと「発展」させたような印象も(個人的には)得ました。それは、決して楽しいだけの冒険じゃない、苦しく悲しい心情も描かれていた『デジモン』のアニメシリーズの「らしさ」を大切にしたからこそのものだとも思えたのです。
(C)本郷あきよし・東映アニメーション・東映
それでいて、今作はシリーズの概念を根底から覆すような、衝撃の事実も明らかになります。しかし、それに屈することなく戦う主人公の“本宮大輔”と、その人間の仲間たちとデジモンたちの絆も描かれます。いかに苦しい事態に遭遇しても、それに果敢に立ち向かっていく友情の尊さが打ち出されているのも、「デジモンらしさ」でしょう。
(C)本郷あきよし・東映アニメーション・東映
いきなり今回の『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』から見ると、そのダークさとほぼほぼホラーな展開にびっくりすると思いますが、これらの『デジモン』のアニメシリーズを振り返ると、納得できる理由を分かっていただけたでしょうか。もちろん、実際に作品を見ると、より理解が深まるはずですよ。
この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「CINEMAS+」「女子SPA!」など複数のメディアで執筆中。作品の魅力だけでなく、映画興行全体の傾向や宣伝手法の分析など、多角的な視点から映画について考察する。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。