AIに負けない子の育て方 第5回

じわじわ伸びて、学び続け、創造できる子が育つ! オルタナティブスクールの教育理念「自和自和」とは

2024年に開校20年を迎える老舗のオルタナティブスクール「東京コミュニティスクール」。そこで行われている探求型教育の内容は? 「自和自和(じわじわ)」という教育理念で目指す姿とは? 理事長の堀江由香里さんや保護者にお話を伺いました。

教育理念は自和自和(じわじわ)

「なんでも自由なのではなく、メリハリを大事にしている」と堀江理事長。
東京コミュニティスクールの堀江由香里理事長
東京コミュニティスクールの堀江由香里理事長
そこで、このスクールの教育理念と目指す人物像を聞きました。

まず、教育理念は「自和自和(じわじわ)」。これは、自分らしさを生かし、人や社会や自然との和(つながり)を楽しみ、共に学び着実に成長するという意味を表しているそう。

自分を大切にすることや、自発的に学ぶこと、自分を律すること、自らの感性を自由に解き放つこと。そして、人や自然との和を大切にすること、穏やかな雰囲気で学びを大切にすること、平和を希求し続けることという創立者の思いが込められています。

そして、このスクールの約束は次の3つ。

「自分を大切に。人を大切に。ものを大切に。」

この3つの約束は、鉄の掟なので、子どもたちも日々意識し、何かあればここに立ち返っています。
 
これまたちまたではブラック校則が話題になっていますが、あれダメ、これダメと禁止したり、こうしなさいと指示するのではなく、子ども自身がこれは、自分や人やものを大切にすることにつながっているか、そうでないなら、どう行動するべきかを考えることができる。心理的安全性のあるコミュニティを運営していく上でも、本質をついた約束だと思いました。 

目指す姿は学び続ける人、創造し続ける人

そして、目指す姿が「学び続ける人」と「創造し続ける人」。

「学校という場で学べる時間は短い。子どもたちが自分の人生を自分の力で生き抜いていくために、この2つの力の土台を育みたい」と堀江理事長。
 
まさに、先の見通しがきかないVUCAの時代といわれている今、子どもたちだけでなく、大人にも必要な力とマインドです。
 
TCSは、このゴールに向けて、上記のような探究の時間に加えて、探究の基礎となる言語(日本語・英語)や算数・理科・社会といった基礎的学習項目を学ぶ時間、ホースキャンプや登山、スキーキャンプ、農業などの野外体験など、全ての学びが組み立てられています。
 
これまで見てきたオルタナティブスクールの中では、かなりしっかりとしたカリキュラムが作られていると感じましたが、テーマ学習に関しては、大枠は決まっているけれど、内容は6週間おきにスタッフ全員でミーティングをして確定していくので、変化していくそう。その柔軟さも魅力です。


>次ページ:保護者に聞いたTCSの魅力
 
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