ここがヘンだよ、ニッポン企業 第18回

ジャニーズ事務所の会見が「最悪」だった3つのワケ【危機管理のプロが解説】

危機管理を生業としている者として、ジャニーズ事務所の会見は残念ながら「最悪」の一言だった。今からでも同社が行うべきことは……。

説明が虚偽だったら“ジャニーズムラ”はおしまい

では、「被害者の会」が示唆するように、もし東山さんや井ノ原さんの説明が虚偽だったらどうか。つまり、実はジャニー氏がそういうことをしているのを知っていたが、何らかの理由で黙認していたことが明らかになったらどんな事態になるか。

結論から先にいうと、東山さんや井ノ原さんが「うそをつきました」と謝罪、辞任をするだけにとどまらず、“ジャニーズムラ”はおしまいだ。

実際にはジャニー氏の性加害の事実が「周知の事実」であったにもかかわらず、それを現経営陣がこの重大局面でも「うわさレベル」と矮小(わいしょう)化してうそをつくということは、このような組織的隠蔽が日常茶飯事になっていたと考えざるを得ない。もはやジャニーズ事務所が何を言おうと、誰も信用しない。

ジャニーズ事務所の社名は残る方針
検討の余地は残したものの、会見ではジャニーズ事務所の社名が残ると発表

 

一気に契約解除の恐れも

それだけではなく、所属タレントたちは一気に契約解除の恐れがある。

東山さんや井ノ原さんが性加害を知っていたとなれば、それよりも下の世代も当然、「お前らも知っていたんだろ」という疑いの目を向けられる。つまり、所属タレントたちが「性加害の傍観者・共犯者」に格上げされてしまうのだ。

こうなると、誰が被害者で、誰が加害者なのかを個別に見極めることは困難なので、テレビ局や広告代理店としては「すべてのジャニーズアイドル」の起用をひかえざるを得ない。
 

>次ページ:ジャニーズ事務所による会見の真の目的は
 

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