ジャニーズ事務所が提示してしまった「新たな攻撃材料」
ではその新たな攻撃材料とは何かというと、新社長に就任した東山紀之さんや会見に同席したジャニーズアイランド社長の井ノ原快彦さんが性加害について「うわさレベルでしか聞いていなかった」と説明したことだ。
これはかなり大博打に出た、と個人的に思っている。実際、「被害者の会」は彼らの発言に対して不満をあらわにしている。
「長年に及んだ性加害を認識していたかを問われた東山氏が『噂として聞いていた』と答えると、石丸副代表は『噂?』と顔をこわばらせ、怒りをあらわに。平本代表も失笑し、ため息交じりに『残念だね』と語った」(9月7日付『産経ニュース』)
では、なぜ東山さんや井ノ原さんは被害者たちの神経を逆撫でするような「残念な発言」をしてしまったのかというと、現役タレントとテレビ局や広告代理店などの“ジャニーズムラ”を守るためだ。
「うわさレベルでしか知らなかった」という都合の良い説明
東山さんや井ノ原さんという先輩タレントが「うわさレベルでしか知らない」と突っぱねれば、所属タレントたちもみな同じような発言をすればいい。「ジャニー氏を信じ切っていて性犯罪に気づかなかった善意の第三者」なので当然、罪や責任は問われない。
そうすると、テレビ局も広告代理店もこれまで通り共存共栄のビジネスを続けられる。現在、フジテレビやテレビ朝日が公表したような「ジャニー喜多川氏は性犯罪者だけれど、タレント自身はみなうわさレベルでしか知らなかったので問題なし」というロジックが成り立つからだ。