AIが進化する時代。幸せに生きるために大切なこと
下の図は『Ikigai: The Japanese secret to a long and happy life』(Hutchinson)という本で紹介されていたベン図です。
コロナ禍を経て、働き方も変わってきました。
副業を認める企業も増えています。好きなことで、得意なことで、しかもそれが社会から必要とされていて、お金を稼げる。そんなことも可能な時代になってきたといえるでしょう。
そんな時代に「自分は何が好きか・何がしたいか・何ができるか」を知っている人は幸せです。
しかし、「私の好きなこと、やりたいことはこれ」と分かっていて、毎日をワクワクしながら暮らしている大人はどのくらいいるでしょうか。
これまでは、「好きなことでお金は稼げない」「好きなことをして生きていくなんて、ごく一部の才能がある人しか許されないことだ」「仕事は苦しくても我慢してやるものだ」そんな刷り込みが、どこか私たちにブレーキを掛けてきたように思います。
人と違うことをするのは、勇気のいることです。何となく違うなと思っていても、みんなに合わせていたほうが楽だし、安全。
確かにこれまでは、そうだったかもしれません。でもそんな生き方をしているうちに、自分は何が好きなのか、本当は何がしたいのかが分からなくなってしまい、毎日なんとなく過ごしているけれど、幸せを感じらなれない。そんな大人があふれているように思います。
でも、子どもたちが生きる時代は違います、入試でも、学校でも、職場でも、「あなたはどう考えるのですか」「あなたはどうしたいのですか」ということが問われ、自分の意見をしっかりと言える人が評価されるようになっていくでしょう。
大学入試の6割が総合型選抜に
一例として、大学入試はすでに変わってきています。年内入試といわれる、総合型選抜が全体の6割に達していることを知っていますか? これは、ペーパーテストの成績ではなく、受験生の探究心・意欲を見る制度です。
大学が欲しているのは、物事に主体的に取り組んでいく意欲や姿勢です。今後は、受験でも偏差値的な学力より、「意欲」や「学んだことを人生や社会に生かそうとする学びに向かう姿勢」が重要視されていくのです。これは、中学入試で新タイプ入試が増えているのと同じ流れです。
なぜそうなっているのか。
それは、少子化対策として早く学生を確保したいという面もあるでしょうが、いわゆる偏差値の高い大学でもこの枠を増やそうとしています。
その1番の理由は、多様な学生を集めたいということです。
今大学は、世界に引けを取らない研究拠点として新たな価値を創造することが求められています。でも、ペーパーテストという1つの物差しだけでは、一面的な能力しか測れず、学生の質も画一的になってしまいます。
あらゆるところで多様性が求められるようになってきている今、「多面的・総合的な評価」が重んじられるようになってきていているのです。
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