自分の中から出てくるやる気ほど強いものはない
これまで推薦入試やAO入試というと、一般入試より楽に合格できるというイメージがあったかもしれませんが、今は変わっています。例えば、京都大学が実施している「特色入試」は、「意欲、買います」というキャッチコピーの通り、学びへの意欲を重視しています。
入学後に大学が定めたカリキュラムについていけるだけの学力はもちろん必要ですが、それ以外に高等学校での活動内容についてまとめた「学びの報告書」や、京都大学で何を学びたいのか、卒業後に何をしたいのかといった、「学びの設計書」を提出しなければなりません。
つまり、自分は「何が好きで、何がしたくて、何ができるか」ということを、きちんと言葉にして論じられる力が必要なのです。
そんな入試を突破する学生は、当然やる気があるので、入学後はそれぞれの「やりたい!」ことにまい進していきます。
「高校時代の探究活動や学習、部活動、生徒会活動、ボランティア、資格取得、課外活動など高校3年間に主体的に取り組んだ活動や成果を多面的・総合的に評価する」という総合型選抜は、付け焼き刃の入試対策で何とかなるものではありません。
反対に、日頃から自分の好きなことや興味のあることに意欲的に取り組んできた結果が評価されるので、自分のやりたいことに一生懸命取り組んできた子どもにとっては、またとないチャンスになります。
実は私の娘も一般推薦入試(当時)で第1希望の大学に進学したのですが、そのとき大学から求められたのは、エッセーと3分間スピーチ、そしてグループワークでした。
エッセーでは、高校時代に意欲的に取り組んだこと、失敗の経験とそこから学んだこと、今何に関心を持っているか、大学でやりたいこと、どんなことで貢献できるのかということを聞かれ、まるで就職活動で提出するエントリーシートのようでした。
そして社会人になった今、経験を重ねながら、やりたいことを実現するために頑張っています。
子どもに身に付けさせたい力とは
もちろん大学入試が変わるから、やりたいことを見つけようと言っているのではありません。
しかし、自分は「何が好きか・何がしたいか・何ができるか」を探究していくことが、結果的にお子さんの将来の道を開くことにつながる時代になってきたことは間違いありません。
だからこそ、お子さん自身が、自分らしく生きられる力を育ててほしいのです。
そのためにできることは何でしょうか? 私は、そのチャンスは家庭の中に転がっているし、親の関わり方がキーになると考えています。
子育てこそが探究です。
皆さんの子育ての軸を作っていくために、この連載では、そのヒントとなるようなオピニオンリーダーや探究的に生きている人へのインタビューや学び場の紹介、そして私自身が学び実践してきた子どもとの関わり方などをお伝えしていきたいと思います。
どうぞお付き合いください。
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この記事の執筆者:中曽根 陽子
数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストとして、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエーティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。お母さんが幸せな子育てを探究する学びの場「マザークエスト」も運営している。『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)など著書多数。