ヤンキー映画の決定打となった『クローズZERO』
ヤンキー映画の決定打と言えるのは、25億円の興行収入を記録した2007年の『クローズZERO』。数多くのジャンルを手掛けてきた三池崇史監督による、良い意味での悪ふざけギャグや、もはやファンタジーと言ってもいい世界観が特徴的で、まるで『七人の侍』のような雨降りしきる中での乱闘は見応え抜群でした。小栗旬や山田孝之が見事にインパクト抜群の不良を演じ切っており、やはりヤンキー映画は若手俳優の登竜門的な立ち位置でもあるとも言えるでしょう。2009年公開の続編『クローズZERO II』は30億2000万円の興行収入を記録する、さらなるヒットとなりました。
ヤンキーものの枠組みに収まらない『HiGH&LOW』
さらにヤンキー映画の枠組みを大きく広げたのが、2015年からドラマが放送され、後に映画も制作された『HiGH&LOW』シリーズ。EXILE TRIBEによる「総合エンタテインメントプロジェクト」と銘打たれており、「全員主役」のキャッチコピー通りに多数のキャラクターが織りなす群像劇にもなっていました。実はプロモーションで“ヤンキー”や“不良”というワードを意図的に避けており、その意味でも幅広い層への訴求に挑んでいる作品でもあります。スケールの大きい独特の世界観、それぞれの身体能力を最大限に生かしきったアクションの数々は、日本の映像界の革命と言っても過言ではないほどのものでした。
さらにシリーズは拡張していき、2019年には不良漫画の金字塔と呼ばれる『WORST』(秋田書店)とクロスオーバーをした『HiGH&LOW THE WORST』が公開。漫画『WORST』は『クローズ』(秋田書店)の続編でもあり、前述した映画『クローズZERO』のエッセンスも十分に感じる内容にもなっていました。2022年の続編『HiGH&LOW THE WORST X(クロス)』は7月9日よりNetflixで配信されたばかりです。
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