4:ただ1つの、とてつもなく大きな問題は……
そんな『アイの歌声を聴かせて』の、とてつもなく大きな問題はただ1つだけ。劇場公開時に動員がV字回復をしていたとしても、それでも現時点で見ている人の絶対数が、あまりにも、あまりにも、少なすぎることです。後述するとんでもない面白さと感動、今の時代だからこそ見るべき理由がこれほどまでたくさんあるのに、なんともったいないことなのでしょうか!
原作のない完全なオリジナル企画の作品であるので、予備知識も一切いりません。家族とでも、お家デートでも、もちろん1人でも、うってつけの作品です。後述するように音楽の力も重要な映画なので、ぜひ集中できる環境で見てみてください!
ここまで読んだあなたが今することは、『アイの歌声を聴かせて』を見放題となった各種配信サービスで今すぐ見る、もしくはマイリストに入れて最優先の見る候補とする、です。
それ以上お伝えするべきことはないのですが、なぜ『アイの歌声を聴かせて』が今、最も見るべき作品であるか、ネタバレにならない範囲で内容に踏み込み、さらなる理由を紹介していきましょう。
5:「戸惑い」から始まるけど「2回目からが本番」の作り込まれた物語
『アイの歌声を聴かせて』は、実は「近未来SF映画」。あらすじは、1人ぼっちでいた女の子に、転校生としてやってきた女子高生AIロボットが、自己紹介でいきなり「今、幸せ?」と聞いてくるというもの。そう聞かれた女の子本人も周りの生徒たちも、戸惑うどころか引いてしまうし、観客にもある程度の拒否反応を覚えさせてしまう、ある意味では挑戦的な導入部なので、それだけを切り抜けば好みが分かれるところではあるでしょう。
しかし、もちろんそれは意図的なもの。「このロボット、おかしいんじゃないの?」という当然の疑問が、伏線として見事に回収されていくことが大きな見どころとなっています。
そして、この『アイの歌声を聴かせて』はファンから「2回目が本番」といわれています。ネタバレになるので詳細は秘密にしておきますが、2回以上見てこその、さらに感動できる物語の構造があり、何度見ても新しい発見があるほど、ロジカルに作り込まれた作品でもあるのです。
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