アスリートの育て方 第1回

子どものために中華料理店を畳んだ父の決断|元サッカー日本代表・佐藤寿人が両親に感謝しているわけ

アスリートが「どう育てられたのか」「どう子ども育てているのか」について聞く連載【アスリートの育て方】の第1回。Jリーグの歴史の中で最も多くのゴールを獲得し、双子の兄と共に日本代表に選ばれた佐藤寿人が、どのような家庭で育ったのか、話を聞いた。

「うれしさ半分、不安半分」父になって分かる、父の気持ち

両親の深い愛情に育まれ、その後双子の兄弟はジェフのトップチームに昇格を果たす。兄はボランチ、弟はストライカーとして成長を遂げ、2006年にはそろって日本代表に選出されると、日本サッカー史上初となる双子選手の国際Aマッチ同時出場も実現している。
 
「プロになったとき、もちろん両親は喜んでくれましたけど、うれしさ半分、不安半分といった感じでした。ジェフの先輩たちがプロの世界に入って、1年や2年でチームを去っていく姿を見ていたからでしょうね。今、自分が親の立場になってみると、その気持ちがよく分かります」
 

「本当に周りの人たちに恵まれたキャリアでした」

寿人は2020年に現役を引退するとき、こんな言葉を口にしている。
 
「本当に周りの人たちに恵まれたキャリアでした」
 
ジェフのセレクションで自分を見出してくれたコーチ、中学時代の先生、もちろんこれまで指導を受けた監督、ともにプレーしたチームメイトもそうだろう。だが、自分のことはいつも二の次で、子どもたちがサッカーに夢中になれる環境を与えてくれた両親以上の存在は、他にいないはずだ。
 
21年間に及んだプロ生活。メディアが用意したアンケートに「尊敬する人」の欄があれば、佐藤寿人は迷うことなく「両親」と書き続けた。
 
【関連記事】「足りない環境を与える」それが僕の教育方針|元サッカー日本代表・佐藤寿人の子育て論【連載:アスリートの育て方 ーVol.2ー】


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佐藤寿人(さとう・ひさと)
佐藤寿人さんは現在、主に解説者として活躍している(ライター撮影)
1982年3月12日生まれ。2000年に双子の兄・勇人とともにジェフユナイテッド市原(現千葉)でプロデビュー。その後セレッソ大阪、ベガルタ仙台を経て、2005年にサンフレッチェ広島に加入。2012年には得点王とMVPをダブル受賞する活躍でチームをJ1初優勝に導く。2004年からJリーグ史上最長の12年連続二桁得点。J1通算161得点は歴代3位の記録。日本代表31試合・4得点。2016年に名古屋グランパスへ移籍、2018年には千葉に復帰し、2020年に引退。現在は主に解説者として活躍中。


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