アスリートの育て方 第4回

ラグビー元日本代表・田中史朗が、7歳と9歳の我が子にプロと同じトレーニングをさせるわけ

アスリートが「どう育てられたのか」「どう子どもを育てているのか」について聞く連載【アスリートの育て方】の第4回。日本を代表するラグビー選手・田中史朗は、自身の子どもをどのようにして育てているのか。「子育て論」を聞いた。

【連載:アスリートの育て方 ーVol.4ー】

ラグビー元日本代表、田中史朗の子煩悩ぶり、家族への愛情の深さは、メディアを通じて広く世間に知られている。

2015年と2019年のラグビー・ワールドカップ(W杯)での活躍で、メディアに引っ張りだこになった田中は、ラグビーの認知度アップのためにと、可能なかぎりテレビ番組の出演オファーに応じてきたが、そこでは彼の家族愛が、たびたびクローズアップされている。

元バドミントン選手の妻・智美さんとの間に授かったのは、現在9歳の長女・愛真(えま)さんと、7歳の長男・真央(まお)くん。

自身はやさしくも厳しい両親のもとで育ち、日本ラグビー界を代表するトップアスリートとなった田中は、はたしてどんな教育方針で子どもたちを育てているのだろうか。

話を聞いて浮かび上がってきたのは、日本の文化や価値観にとらわれない子育て論であり、楽しさの中にも一本筋の通った厳しさだった。

ラグビー元日本代表・田中文朗さんのご家族
ラグビー元日本代表・田中史朗さんのご家族(田中史朗さん提供)

田中史朗が子どもたちに伝えたいこと

長女の愛真さんは2013年、長男の真央くんは2016年の生まれ。田中史朗が日本代表の一員として、強豪・南アフリカを相手に歴史的なアップセットを演じた2015年W杯の前後に、2人の子どもは誕生した。

テレビの画面などから伝わってくるのは、明るく楽しい田中家のイメージだ。子どもたちも天真爛漫に伸び伸びと育っているように見える。

「人生を楽しもうね、というのは、自分の子どもだけでなく、普及活動のラグビー教室で接した子どもたちにも伝えています。あとは、人に信じられる人間になってほしいので、『絶対に嘘はつくな』とも。まあ、それでも宿題をやっていないのにやったと嘘をつくことはありますけどね(苦笑)」

現在、リーグワンのNECグリーンロケッツ東葛に所属する田中は、家族が住む群馬県太田市の自宅から離れ、シーズン中は千葉県で単身生活を送っている。前身の三洋電機時代から12年間にわたって在籍した埼玉パナソニックワイルドナイツを退団して以来、横浜キヤノンイーグルス時代(2019~2021年)も含めれば、単身赴任はもう丸4年になる。

「1人になって、あらためて家族の大切さが分かりましたね。この前も嫁さんの誕生日に、2時間かけて帰って、ご飯だけみんなと一緒に食べてすぐに千葉へ戻りましたが、ほんの少しでも時間があれば、家族に会いに行くようにしています」
 

厳しい早朝トレーニングは子ども同伴で

ただし、ただ子煩悩なだけのパパではない。アスリート夫婦の家庭ならではだろう。1家4人での厳しい早朝トレーニングは、今では田中家の名物だ。田中が自宅にいるときは、必ず近くの公園で、NECでやっているのと同じメニューをこなすという。

「僕も嫁さんも何も言っていませんが、将来何になりたいのかと聞いたら、娘はバドミントン選手、息子はラグビー選手だと。だったら、中途半端にやるのではなく、今から本気で世界を目指そうと、一緒にトレーニングをするようになりました。早い時期から厳しいことをやっていれば、より高いレベルに近づけますから」

とはいえ、まだ9歳と7歳である。毎朝早くに起きて、大人と同じトレーニングをこなすのはつらいだろう。

「娘はぐじぐじ言ってますよ(笑)。夜遅くまでバドミントンの練習もありますし、しんどいときもあるでしょう。でも、やる気がないなら来なくていいと言って僕たちだけでやっていると、やっぱり付いてくるんですね。息子もそうです。ただ中途半端にやっていたら、何度でもやらせます。そして、そのときは連帯責任なので、サボった本人以外も全員で走るのがルール。それで走り切ったら、最後はきちんと褒めますし、『これだけ頑張ったんだから、絶対にバドミントンでもラグビーでも強くなれるよ』っていう話はするようにしていますね」

 
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