アスリートの育て方 第5回

文武両道だからこそ意味がある。元Jリーガーで東大サッカー部前監督、林陵平の「考える力」を育んだ両親

アスリートが「どう育てられたのか」「どう子どもを育てているのか」について聞く連載【アスリートの育て方】。幼少期から文武両道。最近まで東大サッカー部の監督を務めた明大卒のJリーガー・林陵平がどのような家庭で育ったのか、話を聞いた。

【連載:アスリートの育て方 ーVol.5ー】

“元Jリーガーで元東大サッカー部監督”はどう育ったのか

「いったい、いつ寝ているんだろう?」
 
サッカー関係者の間から、そんな心配の声も聞こえてくるのが、2020年シーズン限りで現役を引退した元Jリーガー、林陵平だ。
 
小学3年から高校3年まで(ジュニア~ユースまで)をヴェルディ・アカデミーで過ごし、明治大学を経て2008年に東京ヴェルディに入団。以降、柏レイソル、モンテディオ山形、水戸ホーリーホック、東京ヴェルディ、町田ゼルビア、ザスパクサツ群馬と渡り歩きながら、Jリーグ通算67得点を記録した身長186センチの大型ストライカーは、現在サッカー解説者として引っ張りだこだ。
 
自他ともに認める海外サッカーマニア。その豊富な知識をベースとした鋭い分析と柔らかな語り口が好評で、某スポーツ総合サイトが2022年に実施した「好きなサッカー解説者ランキング」では、ファン投票で堂々の5位に食い込んでいる。
 
現在、欧州サッカーを中心に、1週間に3~5試合の解説をこなしているが、ライブ中継となれば収録は深夜から早朝に及ぶ。もちろん、事前準備のために試合映像のチェックも欠かせない。
 
まさに寝る間も惜しんでサッカーと向き合う林だが、それだけではない。引退から間もない2021年1月末には、東京大学ア式蹴球部の監督に就任。2023年10月9日をもって退任するまで、約3年にわたって関東大学サッカーリーグ東京・神奈川1部(東京都大学サッカーリーグと神奈川県大学サッカーリーグが統合して2023年に発足)を戦うチームの指導にもあたってきた。
元Jリーガーで元東大サッカー部監督の林凌平さん
元Jリーガーで元東大サッカー部監督の林陵平さん
「もともとオタク気質があったんです(笑)。ただ、サッカーも突き詰めようと思って観ているわけではなくて、単純に好きだから観ちゃうんです」
 
そう言って笑う林。好きなことにとことんのめり込む性格は、いかにして育まれたのか。幼少期の話を聞いた。 

 仲良しで、いつも笑いが絶えないアスリート家庭

「自分がやりたいことをやれる環境を与えてもらえたことを、とても感謝しています」
 
本人がそう語るように、林は自由にのびのびと育った。1986年9月8日生まれで、出身は東京都八王子市。両親と4歳上の兄、そして祖母と一緒に暮らした家は、家族全員が仲良しで、いつも笑いが絶えなかったという。
 
経済的に恵まれた家庭であったのは確かだろう。父は林が誕生する以前の1975年に、建設業の会社を立ち上げて軌道に乗せ、現在はそこで代表取締役を務めている。
 
サッカー選手になるべくしてなった、とも言える。
 
両親は子どもたちが幼い頃から父母のサッカーチームに所属していて、林も3歳の頃には兄と一緒に自然とボールを蹴るようになった。
一緒にボールを蹴っていたお兄さんと(写真:林凌平さん提供)
一緒にボールを蹴っていたというお兄さんと(写真:林陵平さん提供)
その運動神経の良さはとりわけ母譲りだろう。女子サッカーの八王子選抜に選ばれ、若かりし日は1970年代に人気を博したローラーゲームの「東京ボンバーズ」に所属する選手だったという。
 
「他のスポーツには全く興味がなかったですね」
 
アスリートの遺伝子を受け継ぎ、サッカー一家で育った林は、小学校の低学年ですでに地元ではひと際目を引く存在だった。

小学2年生までは八王子市のサッカークラブ「清水北FC」に所属。そこでエースナンバーの10番を背負っていた林が、ヴェルディのアカデミーに入団するきっかけは、小学校の行事で母と一緒に行った、よみうりランドへの遠足だった。


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