人気アイドルの訃報、活動休止……K-POP業界の労働環境とメンタルヘルス問題【K-POPゆりこの沼る韓国】

M世代の韓国エンタメウォッチャー・K-POPゆりこと、K-POPファンのZ世代編集者が韓国のアイドル事情や気になったニュースについてゆるっと本音で語る【K-POPゆりこの沼る韓国エンタメトーク】。#17のテーマは「K-POP業界とメンタルヘルス問題」について。写真:アフロ

生まれつき“強い人”なんて幻想!? 大事なのは環境を整えること

※画像はイメージ
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ゆりこ:確かに我慢強さは持ち合わせているでしょうね。幼い頃から歌にダンス、語学のレッスン、インタビューの受け方など何から何まで徹底的に叩き込まれる。そして時には厳しくダメ出しされ、共にデビューしようと誓った仲間がどんどん去っていく。そんな中でも歯を食いしばって勝ち残った人ですから。一方で私は「メンタルが強いor弱い」という言葉をちょっと疑ってもいて。

矢野:うーん、確かにポジティブで何事にも動じないタイプの人が、ある事がきっかけで別人のように弱ってしまうことや、逆のケースもありますもんね。

ゆりこ:そうそう。元々の気質がどう、というよりも「健全な状態でいられる環境か否か」がかなり重要なのではないかと思うんです。

矢野:国全体の風潮は今すぐ変えられないとして、身近な人間関係の問題、過密スケジュール、そして偶発的なトラブルなどを「よくあること」「みんなも我慢している」で済ませない体制が求められますよね。そこで頭に浮かぶのが、アイドルの体調不良の知らせや訃報が届くたびに必ず出てくる、「芸能事務所はアーティストのメンタルケアをちゃんとやっているのか?」という怒りにも近い疑問の声。

ゆりこ:触れようと思っていたところです。その指摘は真っ当ですし、周囲の大人たちが若いアイドルの心身を守るのは義務だとも思います。その一方でスタッフや運営側が抱える課題も無視できない。

矢野:何やら理想論では解決できない、スタッフ側の事情もありそうですね……。この続きは次回お話ししましょう。

※記事を読んでつらくなった人、相談したいと思った人は「こころのオンライン避難所」にご連絡ください
※厚生労働省が運営する「まもろうよこころ」でも相談先を紹介しています

 

【ゆるっとトークをお届けしたのは……】
K-POPゆりこ
:韓国芸能&カルチャーについて書いたり喋ったりする「韓国エンタメウォッチャー」。2000年代からK-POPを愛聴するM世代。編集者として働いた後、ソウル生活を経験。

編集担当・矢野:All Aboutでエンタメやメンズファッション記事を担当するZ世代の若手編集者。物心ついた頃からK-POPリスナーなONCE(TWICEファン)。
 

参考
※1:The New York Times 2023年4月19日
※2:BBC 2023年4月20日
※3:ガーディアン 2023年4月20日 
※4:朝鮮日報 ライフコリア 2021年10月15日
※5:AFPBB News 2023年4月17日
※6:AFPBB News 2023年3月1日
※7:KBS World Radio 2023年4月14日
 

>次ページ:ムンビンさんの訃報に著名人からも追悼の声
 

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