「悲報」「これはショック」「嘘だろサイゼ……」
そんな悲しみの声がネットやSNS上に相次いだ。イタリアンレストランチェーンのサイゼリヤがスパゲッティメニューの「大盛り」と「おこさま」サイズの提供を12月13日をもって終了したからだ。
サイゼリヤのスパゲッティは通常サイズに150~200円程度を追加すると、麺とソース量を1.5倍の大盛りにすることができた。また、一部メニューには量と価格を半分で提供する「おこさま」サイズというものがあった。
この衝撃的な内容は12月12日付のプレスリリースで発表され、“サイゼリヤン”(サイゼリヤの熱烈なファン)にとっても寝耳に水だった。加えて、人々をモヤモヤとさせたのは「大盛り終了」の理由だ。サイゼリヤは同リリースでこのように説明している。
「品質の安定が困難なため」
これを聞いて頭の中に大量のクエスチョンマークが浮かんだ人も多いはずだ。入手が難しい高価な食材を用いたメニューならば、このような説明は納得だが、日常的に提供している定番メニューの「量」を1.5倍に増やしたり半分にしたりして提供するのに、「品質の安定」もへったくれもない。
問題は「量」なので原因は「コスト」以外の何者でもない。実際、他の外食企業で、この手の「ごはん大盛り」のようなサービスが終了する、もしくは値上げをするというときの理由はほぼ100%、「コスト増」だ。
例えば、からあげ専門店「からやま」も2022年7月22日、それまで好評だった「ごはん大盛り無料」を「30円」と有料に変更したのだが、その理由を以下のように説明している。
「世界的な食糧需要の拡大や円安に伴う食材価格の上昇、原油価格の高騰やそれに伴う物流費・包材資材価格、水道光熱費の上昇を踏まえ」(7月8日付アークランドサービスホールディングスのプレスリリースより)
このような外食ビジネスの「常識」の中で、なぜサイゼリヤは大盛り廃止を「品質の安定が難しい」などと、奥歯に物が詰まったような表現で説明をしたのか。
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