世界が熱狂の渦に包まれているサッカー「FIFAワールドカップカタール2022」大会(以下、W杯)。日本代表が活躍していることもあって、これからまた盛り上がりを見せそうだ。
日々、国際情勢を追っている筆者としては、国家同士の政治的・外交的な関係を踏まえて、つい別の角度から戦いを見てしまう。
スタジアムの外で小競り合いも
例えば、予選グループBのアメリカ対イラン戦は、両国の緊張関係がのぞかれた。過去75年にわたる歴史的な緊張関係を背景に、イランの核開発問題も膠着(こうちゃく)するが、2022年9月にイランの首都テヘランでヒジャブ着用を巡って道徳警察に殺害されたとされる22歳の女性に関連し国内で反政府デモが続いていたことで、アメリカはイラン治安当局幹部らに同月、制裁措置を課したところだった。
そんなことから、試合でアメリカが勝利した後には、スタジアムの外で、イランのサポーター同士が、親政府と反政府に分かれて小競り合いしていたことが、フランスの公共放送「France 24」によって報じられた。またアメリカが得点を入れた後、イランのジャーナリストによって反政府派が花火を上げた映像もツイートされている。
「スポーツに政治を持ち込むな」という主張があるのは分かっているが、国同士が国旗を背負って戦う以上、こうしたスポーツの外にある政治的な側面を無視できないのも仕方がないだろう。さらにそれが試合にスパイスを与えることも事実である。
こうした話に加えて、今回のサッカーW杯を巡っては、大会開催前から開催国カタールについて、いくつかの問題で批判が続いていた。