ここがヘンだよ、ニッポン企業 第7回

「安いニッポン」に三行半? 国内で消滅寸前の「東京チカラめし」はなぜ海外に軸足を移すのか

牛丼チェーン「東京チカラめし」が2023年1月、タイに1号店を出店する。香港でも人気の同店だが、なぜ国内ではなく海外展開を進めるのか。その理由は……。

早くに海外で活路を開いていた吉野家

吉野家は2022年9月時点で、アメリカ全体で102店なのに対して、中国では北京だけで276店、他地域を合わせると中国全体で624店舗だ。さらに、インドネシアでも140店、今回、「東京チカラめし」が初進出するタイも32店舗ある(参考:吉野家グループ店舗数一覧)。
 

ちなみに、国内の吉野家の店舗は1195店(2022年9月時点)に対して、海外店舗数は974店舗。10年前の2012年9月の国内店舗数は、1188店と「現状維持」をするのがやっとだ。それに対して10年前の海外店舗数は562店舗だったことを考えると、いかに海外に活路を見い出しているのかうかがえる。

海外の吉野家店舗

「安いニッポン」に見切りをつけて徐々に海外へ軸足を移すのは、実は大手外食チェーンの中ではもう随分昔からとっくに始まっていたのだ。
 

そう考えると、「東京チカラめし」がタイに目をつけたのは悪くない。中国やインドネシアは既に吉野家がかなり展開をしているが、タイはまだそれほど多くない。親日国なので、「東京」という店名も1つのブランドとして機能するかもしれない。
 

>次ページ:「東京チカラめし」の「逆輸入」はあるか
 

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