アムウェイは「見せしめ」か
このような新興勢力なども含めて、マルチ商法によるマッチングアプリや街頭声がけを用いた「違法勧誘」に対し、行政は厳しいスタンスで臨むぞということを世に知らしめるため、最大手アムウェイを「見せしめ」としてつるし上げたのではないか。
しかも、アムウェイの場合、自分たちでもやらかしてしまっている。2021年11月11日、京都府警に「日本アムウェイ」の会員が特定商取引法違反の疑いで逮捕された。マッチングアプリで知り合った女性に「日本アムウェイ」の名や目的を告げずに、エステに連れ出し、登録を勧誘したのだ。
大手のアムウェイですらこの調子なのだから、コロナ禍のマルチ商法がどんな違法勧誘をしていたのかは容易に想像できよう。
それらを1つ1つしらみ潰しで見つけて、処分を下していてもキリがない。そもそも、消費者庁にはそんな時間もマンパワーもない。だから、世間に大きなインパクトを与えるアムウェイを「見せしめ」とした。事実、こうして大きなニュースになって、マルチ商法の違法勧誘が注目を集めている。
「なぜこのタイミングで?」「旧統一教会問題の影響が?」と世間は驚いているが、実はコロナ禍のどさくさに紛れて、マルチ商法の世界はやりたい放題だった。そこにようやく「お灸」を据えたというだけの話なのではないか。
窪田順生プロフィール
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経てノンフィクションライター。また、報道対策アドバイザーとしても、これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行っている。
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