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「通勤と仕事の仕方」からも分かる、ASDの特性
ASDとは、「主に社会的なコミュニケーションの困難さや空間・人・特定の行動に対する強いこだわりがある等、多種多様な障害特性のみられる発達障害のひとつ」とされています(日本自閉症協会公式Webサイトから抜粋)。そうした説明以上に、劇中の安田章大演じる大貴の「通勤と仕事の仕方」から早くも、そのASDの特性が分かるでしょう。 何しろ、早朝から仕事に行くまでの道行きで、曲がり角や路面の模様に足を合わせて「直角に曲がる」のです。しかも清掃の仕事の仕方は念入りそのもので、トイレットペーパーの補充では「きちっとした並べ方」に時間をかけすぎて、先輩から「ちり紙なんか適当にちゃちゃーっと並べたらええねんて」などと軽く苦言を呈されていたりもします。
それでいて、彼はアパートでひとり暮らしをしています。「水曜日の19時に必ず食事会をする」ことが決められていて、その時間に妹が少しでも遅れてしまうと大慌てしてしまう……ということもありますが、一定の”決まりごと”の中でちゃんと自立していることが伝わりますし、それを踏まえてASDの“生活”の1つの例を知ることは、とても意義深いと思うのです。
ASDの“天才的な特殊能力”を示す作品が多いからこそ……
ASDを扱う作品では「サヴァン症候群」だからこその驚異的な才能を示すことがよくあります。会計士を主人公としたアクション映画『ザ・コンサルタント』や、医師が謎めいた事件を解決する小説『天久鷹央の推理カルテ』など、社会的地位が高い職業に就いていたり、“天才的な特殊能力”を持つことを強調する作品も少なくありません。10月19日よりNetflixで配信される韓国ドラマのリメイク『南田南弁護士は天才肌』の主人公も、サヴァン症候群である可能性が高いと思われます。 そうした作品やキャラクターももちろん良いのですが、この『平行と垂直』のように、実際にもいる多くのASDの人たちのように、決して天才でも、サヴァン症候群とは言えなくても、自分の特性を活かして、社会で必要な仕事に就き、自立して生活している人を描く作品は、もっとあってほしいと思いました。
その言葉通り、ASDに「スペクトラム」という“連続体”や“幅広い範囲”を意味する言葉が付けられているように、その特性や症状は軽度から重度まで途切れることなく連続していてさまざまです。本作だけで「ASDってこうなんだ」と決めつけず、ほかのASDを扱った作品に触れることで、多様性を知ってみてもいいでしょう。



