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「自分ヤバい……」神童の目を覚まさせたゲームの配信終了
そんな自堕落な生活を送っていた3年目のある日、高校時代から続けてきた「ボンバーマンオンライン」がサービス終了を発表します。居場所だったゲームが消えたことで、「今の自分って、まずいタイプのフリーターじゃん」と一気に現実に引き戻されました。同時に、ゲーム内で知り合った年上の友人からも「フリーターを続けるより、勉強してもっといい道を歩め」と背中を押されます。
阿部さんは、インターネット掲示板「2ちゃんねる(2ch)」に「このままでいいのか?」というスレッドを立て、現状を吐露。そこに寄せられた見知らぬ人々からの励ましをきっかけに、もう一度受験に向き合う覚悟を決めました。
両親に頭を下げて予備校へ通い始めた阿部さんは、ここから「ゲーマー的な発想」を受験勉強にハックし始めます。
2ちゃんねるを監視役に。「ゲーム脳」でつかんだ偏差値70超
阿部さんが最初に取り組んだのは、勉強の「ゲーム化」でした。「勉強を始めた当初は計画を立てずにがむしゃらに取り組んだため、得意科目ばかり進んで苦手科目が滞りました。そこで対策として、毎日少しずつ全教科を勉強し、何分勉強したかをノートに記録。『ログインボーナスを得る』ようなイメージで進めたんです。やらない科目がある=キャラが成長できない、というイメージで進めました」
さらに、モチベーション維持のために2ちゃんねるを活用しました。「勉強時間16h、運動時間0.5h、無駄にした時間0.5h」と毎日の成果と反省をスレッドに投稿。見ている人々に監視してもらうことで、途中で逃げられない環境を作ったのです。
「そのうち、『毎日ROMってるよ』『相変わらず頑張ってるね。自分自身が決めた道、しっかり前を見て下さい。応援してます』と認めてもらえる瞬間がありました。受験が近づくと、スレッドには一緒に頑張る仲間も登場し、ドラゴンクエストの『ルイーダの酒場』のように仲間集めの場所としても機能していましたね」
睡眠以外の全てを勉強に捧げ、最低でも1日12時間の学習量をキープ。再受験を決めた当初は偏差値50未満まで落ち込んでいた成績は、最終的に偏差値70を超えるまでに急上昇し、見事に医学部合格を果たしました。
「研修医になれた時、『迷惑をかけてごめん』と両親に声をかけたら、涙を流していました。苦労をかけたんだと、今ならよく分かります。ゲームは逃避にも使えますが、その熱中するパワーは現実を成長させるためにも使えるんです」 阿部智史さん プロフィール
1987年生まれ。医師(家庭医療専門医・指導医)。医療法人救友会理事長、東海大学医学部付属病院総合内科客員講師。湘南伊勢原クリニック院長。私立武蔵中高から東海大学医学部へ進学。ゲーム依存を経験したことから、2021年に医師仲間とDr.GAMESを設立し、診療の傍らゲームで悩む親子やゲーマーのサポートを行う。現在も熱心なゲーマーで、複数のオンラインゲームで全国ランキング1位の成績を残す。
この記事の執筆者:
結井 ゆき江
フリーランス編集・ライター
フリーランスの編集者・ライター。中学受験雑誌の編集者として勤務した後に独立。小学校で発達障害グレーゾーンの児童をサポートした経験から、教育分野を中心にライターとして活動する。
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