そんな状態から一念発起し、わずか1年ほどの受験勉強で医学部合格を勝ち取った阿部さん。その実体験と勉強法は、2026年7月に出版された『ゲームしながら受験で勝つ!─医師が教える子どもが自ら学び出すセルフコントロール力─』(新潮社)にもまとめられています。
どん底のフリーター生活から、いかにして「ゲーム脳」を受験勉強にスライドさせて逆転したのか。阿部さんに当時のお話を伺いました。
※本記事で紹介している商品の購入やサービスの利用により、売上の一部がオールアバウトに還元されることがあります。
「夢がない」名門・武蔵の神童を襲ったモヤモヤ
そうした気持ちに比例するように、ゲームにのめり込む時間が増加。休み時間のたびに友達と対戦し、帰宅後もオンラインゲームの世界に浸る日々が始まりました。
「特にひどかったのは高2の終わりです。ネット上で対人戦を楽しめる『ボンバーマンオンライン』というゲームにハマって、全く勉強に身が入らなくなりました」
両親からは「そんな様子で、将来はどうするつもりだ」と叱責される場面が増え、衝突は激化。顔を合わせれば叱られる日々が続き、しまいには、ゲームに必要なマウスやLANケーブルを親に隠されるようになりました。それでもゲームがしたい阿部さんは、隠されたパーツを夜中に探し回ったと言います。
「そういう時に親と出くわすと、さらに激しく言い争いになりました。『うるさい! 放っておいてくれ!』と反発し、部屋にこもることが増えていきましたね」
LANケーブルを隠す親。「勉強する」とだまし一人暮らしへ
けれど、勉強に身が入りません。そのうち、部屋は同じようにゲーム好きな仲間たちのたまり場となり、徹夜でゲームに没頭する日々に。
「『大学受験は、来年頑張ればいい』という甘い考えが頭をもたげ、センター試験を受けたところで早々に受験をやめました」
卒業後は「浪人して予備校へ通う」と偽って憧れだった池袋近くへ転居。しかし、春になっても予備校の申し込みには行かず、新居には勉強机ではなくパソコン机を設置し、両親に黙ってファミリーレストランの深夜アルバイトを始めたのです。
「働いて生活していれば文句は言われないだろうという、やけくそな気持ちでした」
そうして始めたアルバイトは、時給のいい深夜帯がメイン。アルバイトのある日は、10時に起床し、22時の勤務時間まで12時間ほどゲーム。休みの日は、18時間ほどゲームをやり続けました。
「睡眠は4時間取れればよい方で、残りの時間は全てゲームにつぎ込みました。食事はファミレスの従業員割引か、100均のパスタに市販ソースをかけたもの。痩せていきましたね」
そんな生活も、2カ月ほどで両親にバレてしまいました。親からの仕送りは止まりましたが、そのまま一人暮らしを続行。しばらくすると、家族と唯一つながっていた携帯電話まで解約しました。
「両親は、仕送りを止めれば、帰ってくるだろうと思っていたんじゃないですか。携帯を解約してからは、心配した妹が様子を見に来るようになりました。当時は気が付きませんでしたけど、母親は悩み過ぎて、かなり体重が減ったらしいです。今となっては本当に申し訳なく思います」



