借用時の背景は「奨学金は進学するために仕方がない選択だった」が4割以上
ここまで見てきたように、奨学金は借入総額や返済年数、将来への不安といった負担を伴う制度です。
それでも多くの家庭が利用に踏み切った背景には、積極的に選びたい制度というより、「他に現実的な選択肢がなかった」という背景がありました。
調査では、4割以上が「仕方がない選択だった」と回答しました。この結果は、奨学金が家庭にとって“望ましい選択肢”というより、進学を成立させるために受け入れざるを得なかった手段だったことを示しています。
両親からは「本当は借りずに済ませたかったけれど、進学の選択肢を狭めたくなかった」と言われました。返済があることは理解した上で、今は必要な制度だから仕方がないという考えだったと思います。(あいさん大阪府社会人7年目)
弟も大学進学を希望していて2人合わせて高額なお金が必要になるのは大変で、住宅ローンもあり、奨学金を利用しないとやっていけないという話になりました。(あつおさん大阪府社会人5年目)
シングルマザーのため、経済的余裕が全くなく、母親と話した際には「お金がないから大学の奨学金を頼るしかない」と口にしていました。私も家計には一切の余裕はないということは理解していたため、「そうだね、仕方ないよね」と答え、大学の奨学金を利用することになりました。(ヤスさん東京都社会人3年目)
保護者が口にする「仕方がない」という言葉の裏には、子どもの教育機会を奪いたくないという切実な願いと、自らの経済力不足への申し訳なさが複雑に絡み合っているように見受けられます。ひとり親家庭や多子世帯では、奨学金が「進学のための唯一の命綱」となっているのが現状です。



