ヒナタカの雑食系映画論 第212回

『ミルキー☆サブウェイ』は劇場版の追加シーンも重要!『超かぐや姫!』との共通点、愛されるアニメの「正解」とは

2月6日公開の『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き』の魅力を解説すると共に、直近で大ヒットとなった『超かぐや姫!』の共通点も挙げてみましょう。「超大バズり」を超えて「ずっと愛される」アニメの「正解」がそこにあったと思うのです。(画像出典: (C)亀山陽平/タイタン工業)

「シンエイ動画のアニメ映画は間違いない」ことを常識にするべき

人気アニメの続きとなる劇場版や有名なIPではないアニメ映画が、商業的に苦戦しがちなのは、やはり「ブランドが確立されていない」ケースも多いと思います。裏を返せば、新海誠やスタジオジブリのように「監督やスタジオの名前がブランド化」、もっと言えば「日本のアニメ映画全体の信頼を強固にする」ことができれば、その状況を打破することもできると思います。

そのため、『ミルキー☆サブウェイ』の亀山陽平監督と、『超かぐや姫!』の山下清悟監督はもちろん、それぞれを世に送り出した「制作スタジオ」の名前もぜひ覚えていただきたいです。

『ミルキー☆サブウェイ』の制作スタジオは『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』などの国民的なアニメ作品を手がけているシンエイ動画です。

実は亀山監督が『ミルキー☆サブウェイ』を手がけることになったのは、シンエイ動画からの声がけがあったから。そこで、2022年に専門学校の卒業制作として発表した短編『ミルキー☆ハイウェイ』に「あの2人(チハルとマキナ)の話をもっと見たい」という意見が多くあったこともあり、亀山監督が自分から「続編をつくります」と提案をしたのだそうです。
シンエイ動画の企画・制作で大ブームとなった作品には、見里朝希監督の『PUIPUI モルカー』もあります。若いクリエイターの才能を作品に昇華させる取り組みそのものを、応援したくなります。
さらに、『化け猫あんずちゃん』『窓ぎわのトットちゃん』『トリツカレ男』『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』「シンエイ動画制作のアニメ映画は傑作しかない」という、とんでもないことになっています
しかも、シンエイ動画の劇場版アニメでは、テレビアニメの再編集と「その後」の物語で構成された劇場版『僕の心のヤバイやつ』が2月13日に公開、さらには小説を映画化した『君と花⽕と約束と』も7月17日に公開されます。
今後もシンエイ動画のアニメ映画は「間違いない」ので、優先的に映画館へ駆けつけることを常識にするべきです。

なお、『ミルキー☆サブウェイ』の亀山監督は、今後は「ハイクオリティなショートアニメーションを届ける」ことを目標に設立されたスタジオのStudio Wrongに参画することが発表されています。ショートアニメでのさらなる活躍はもちろん、いつかは長編も手がけてくれることも期待しています。

若いクリエイターが国民的な作家になるかも!

『超かぐや姫!』は山下監督が率いる「スタジオクロマド」初の作品であるのですが、『ペンギン・ハイウェイ』が特に絶賛された「スタジオコロリド」とタッグを組んでいることが重要です。

その作品群で特に魅力的な「キャラの表情がコロコロと変わる」愛らしさはもとより、「奥行きのある」「ハイスピードで」「カメラワークもダイナミックな」アクションでの「超絶作画」をたっぷりと堪能できたのですから。今後も両スタジオのブランドの、大きな成長が期待できるでしょう。

なお、亀山監督は1996年生まれで現在29歳、山下監督は1987年生まれで現在38歳と、どちらもとても若いクリエイターです。だからこそ若い世代にリーチした作品を作れたといえるでしょうし、ここまで話題となった作品を作り上げた実績を持って、今後は新海誠や細田守や宮崎駿といった先人のように、さらなる飛躍を遂げるのかもしれません。

そして、『ミルキー☆サブウェイ』と『超かぐや姫!』の最大の魅力であり共通点は、「誰もが楽しめるエンターテインメント」であること。もっと言えば、クリエイター自身が楽しいと思うものを、本当に楽しく全力で作り上げていることが、作品そのものから伝わってくることなのではないでしょうか。

だからこそ、両者はここまで愛される作品になったのでしょう。亀山監督と山下監督の活躍を今後も追うと共に、今後も日本のアニメ映画が盛り上がることを期待しています。
ヒナタカ
この記事の執筆者: ヒナタカ
映画 ガイド
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。 ...続きを読む
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