11月1日は「わん(1)わん(1)わん(1)」で、犬の日。愛らしい家族の存在は、飼い主にとって何物にも代えがたい喜びがると同時に、永遠の責任もあります。
愛犬家にとって、「自分が急に倒れたら、飼っている犬がどうなるか」は大きな悩みの種の1つでしょう。実は飼い主に意識がない場合、室内にペットが取り残されていても、本人の許可がなければ他者は手出しすることができません。
では、どうすれば自分に何かあったときに、大切な飼い犬を守ることができるのでしょうか。『私が死んだあとも愛する犬を守る本』(日東書院本社)から、孤独死の道連れになる飼い犬たちの現状と、飼い犬を守るためにできることを一部を抜粋・編集してご紹介します。
一人暮らしの家庭では、犬が孤独死の道連れになっている
一人暮らしの飼い主さんは、自分が急に倒れたときのことも想定しておかねばなりません。飼い主さんが家で孤独死し、それにだれも気づかず時間が経過しペットも餓死。数ヶ月後に飼い主とペットの遺体が発見される……という悲しい事件が実際に起きています。
自分が死んだあと、図らずもかわいがっていた愛犬まで死なせてしまうとは、飼い主さんもさぞかし無念であることでしょう......。飼い主さんの遺体に犬が寄り添うようにして死んでいることもあるそうです。
幸運にも犬が生きている状態で発見されたとしても、長期間の空腹や脱水、糞尿まみれの生活がどれほどの苦痛を与えるのか。
一般社団法人日本少額短期保険協会「孤独死対策委員会」の統計によると、孤独死が発見されるまでの日数は平均18日。長いと3ヶ月以上発見されないこともあるようです。
過酷な状況で長期間過ごしていて半狂乱になってしまうのでしょう。そのまま行方がわからなくなる子もいれば、マンションの廊下から落ちて大ケガした子もいます。
突然死ではなく、飼い主さんの事故や入院などによりペットだけが家に取り残されるケースもあります。飼い主さんの意識があればだれかにペットの世話を頼むことができますが、問題は意識がない場合です。
だれかが室内にペットが取り残されていることに気づいて助けたいと思っても、本人の許可が取れないので手出しができません。法律上、ペットは飼い主の所有物なので他人に渡すことができないからです。
動物が日に日に弱っていくことがわかっていながら助けられないとは本当におかしな話だと思いますが、ここはいわば法律のグレーゾーン。突破するのが困難な壁となっています。
しかしこれも、飼い主さんが事前にちょっとした準備さえしておけば救うことができます。
考えておきたい認知症のリスク
高齢の飼い主さんは認知症のリスクも考えておかねばなりません。いま、65歳以上の5人に1人は認知症になるといわれます。犬への愛情はあっても認知症になってまともにお世話ができなくなっていたという事例は数多くあります。
犬をかわいいと思う気持ちは残っているのに食事や水を与えることを忘れる、散歩や糞尿の始末もせずに放置してしまう。自分がそんな状態になるなんていまは想像もできませんが、実際、そういう状態になっていた飼い主さんはいるのです。
最後まで責任ある飼い主でいるために、こうしたリスクも想定内として備えておきたいものです。



