「出社回帰」で失速しない! ワーママが実践すべきキャリア戦略と“脱・セルフブラック”時間術

社会全体で高まっている「出社回帰」の波を乗り越え、ワーママが仕事と育児を両立するために必要なこととは何か? Voicy「学びの引き出しはるラジオ」のパーソナリティ・尾石晴さんにお聞きしました。

ワーキングママ
出社と家事育児を両立するために、今必要な考え方とは(画像出典:PIXTA)
現在、社会全体で高まっている「出社回帰」の機運。その影響を最も大きく受けると言っても過言ではないのが、仕事と育児を両立しているワーキングママ(パパ)ではないでしょうか。
 
そこで、書籍『40歳の壁を越える人生戦略』やVoicy「学びの引き出しはるラジオ」で、働く人や子育て中の人の悩みに寄り添い、具体的な解決策を提案しているポスパム代表・尾石晴さんに、ワーママがキャリアを諦めずに済むための仕事との向き合い方や、毎日の時間の使い方について伺いました。

ワーママの働きにくさの根源は、国と企業の理想のズレ?

――そもそも、日本が抱える少子化問題と出社回帰は、それ自体が衝突しているような気がするのですが、そんな中で、私たちが仕事と子育てを両立させるには、どのような工夫が必要と思われますか?

企業というのは一般的に生産性の向上、そのための企業全体の一体感の醸成などを目指していると思います。それに対して国は、子育て世代の就業継続やそのための支援などに力を入れようとしているので、ここですでにすれ違いが発生しています。
 
このすれ違いを解決する方法の1つが、「働き方の選択肢の多様化」だと私は思います。
 
そもそも日本は、まだまだ働き方の選択肢が少ないですよね。時短勤務という選択肢もありますが、見方によっては働き方やキャリアの選択肢を狭めているとも言えるので、私は一概にいいとは思いません。
 
それよりも、例えばコアタイムなどを設けた上で、一人ひとりが働く時間を選べる方が、少子化と出社回帰の衝突はかなり軽減されるのではないかと思います。
 
しかし、なかなかこうした仕組みが浸透しないところが現在の日本全体の課題です。

従来通りに全員一律に出社することを求めると、結局弱き者が選択を迫られることになり、子どもを諦める、もしくは仕事を諦めるということになってしまい、国が考える少子化対策がうまく進まないというスパイラルに陥ってしまうと思います。
 
非正規雇用という選択肢もありますが、そうなると一気に賃金が下がってしまったり、キャリアの幅が狭まったりしてしまうのが現状ですよね。

特にワーママであれば、いわゆるマミートラックを走ることを余儀なくされ、それ以降のキャリアの可能性が閉ざされてしまうというケースも少なくないと思います。
 
とはいえ、全ての企業に明日から突然柔軟な働き方を実現してもらうのは難しいですから、せめて企業には職種や雇用形態ごとに「なぜその時間オフィスにいなければならないのか」ということを明確に提示してほしいと思います。
 
そこが説明されると、「一体感」というあいまいな言葉だけに縛られず、もう少し現状に納得して働けるかもしれません。

仕事と家庭を両立するための「転職」の見極めポイントは?

――働く条件に納得感を持ちたいと考えると、やはり「転職」という選択肢が上がるワーママも多いと思うのですが、仕事を探す際に見逃していけないポイントはありますか?
 
子育てと両立しつつ働きたいときに1番に考えるのは、やはり勤務条件や時間ですよね。そして同時に給与についても考えると思います。
 
その次に、自分のキャリアパスやスキルをどう伸ばしていくかということを考えるのではないでしょうか。そこには自然と人脈を広げるという要素も付いてくると思います。
 
私はそこにさらに、企業の価値観やカルチャーも考慮に入れて考えます。ここがズレていると、今後働いていく上でのメンタリティーに大きく影響するからです。
 
例えば、私は会社員時代はヘルスケアに関わる企業に勤めていたのですが、それは「自分の仕事が誰かの健康的な生活を支えることにつながっていると実感できたから」という部分が大きいです。

逆に言えば、どんなに給料が高く、将来性があると言われている業種でも、自分自身が「誰かの役に立っている」と感じられない仕事は選ばないと思います。
 
整理すると、転職に際して、私は「給与と時間」「未来のスキルアップ、人脈」「メンタリティー」の3つを大切にしたいなと思っています。

最初の2つはある程度考慮に入れていても、3つ目の「メンタリティー」を犠牲にしてしまったり見逃してしまったりする方は多いかもしれません。
 
転職という選択をするのであれば、それこそ新卒時の就活のようにとことん自分自身を見つめ直して自己理解をしていくことが、ワーママにこそ大事なのではないかなと思います。
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