
筆者もまた、ワーママとして働く中で「40歳の壁」の存在を肌で感じ、人生の舵を切り直す決断を迫られました。そして、「自分自身の選択、決断、覚悟」こそが唯一の解決策だと気づき、安定した会社員生活を手放す決断をしました。
この記事では、『「40歳の壁」を越える人生戦略』(尾石晴 著)を一部抜粋し、その具体的な思考プロセスと行動の軌跡をご紹介します。
キャリアの方向変換をした先輩たちに会ってみた
「私自身の選択、決断、覚悟」をするために、実際にワーママになった後に退職し、自分の道(転職、自営など)へ進んだ何人かとお会いして話をしてみました。・せっかく長年勤めてきた会社なのに辞めるのはもったいない。
・収入は減ったけど、時間が増えるから楽しいよ。
・毎日会社に行かないから、自己管理が大事。
・子どもといる時間は確実に増えた。
・病気になるのが心配。
・稼ぎをコントロールして税金負担が減った。
ご意見は多種多様! 結局は自分の視点の持ち方次第だと感じました。会社員だろうが、自営だろうが、ワーママだろうが、独身だろうが、「コップに半分入った水」を見て「半分もある」と思うか、「半分しかない」と思うか、人によって違うという世界なんですよね。
会社員を辞める場合の不安を言語化してみた
私は会社に所属することで、自分の社会における存在価値を感じてきました。会社で築いてきたキャリアや人的資産もあり、これが消えるのがもったいない(辞めたら、現ポジションに1年後に戻りたくても戻れない)という気持ちもありました。
会社員が会社を辞めるかどうか悩む原因の多くは、「現状維持バイアス」です。現状維持バイアスとは、「未知なもの、未体験のものを受け入れたくないと感じ、現状のままでいたいとする心理作用」のこと。
現状そんなに困っていないけれど、新たなことにチャレンジしたら、より良くなる可能性がある。でも、今より悪くなる可能性もある。それならこのままでいいや、というものです。
抜け出す勇気が持てない。特に日本の新卒一括採用、就職氷河期を経験した身としては、「元の職場に戻れないけど、辞めていいのだろうか?」という不安がありました。
そこで、現状維持バイアスを打破するために、自分の中にある不安を分解してみました。
すると、大きな不安は「収入減」と「自分のビジネス(自分業)をつくれるのか」の2つでした。
1. 収入減
私はもともと本業しか収入経路がなかったため、収入がなくなるのは大きな不安要素でした(夫婦別会計なので、家計負担が一定額ある)。しかし、2018年頃から副業を始めていて、本業以外の収入の目処がついてきていました。そのため「当面はそちらをがんばってみるのもいいのでは?」と考え方が変わってきました。
「副業収入が本業の収入を超えてから退職するべきだ」という意見をよく耳にしますが、「ワーママで毎日1時間半程度しか副業できない」私には、本業を辞めない限り無理だなと薄々感じていたからです。
そこで、最低生存月額(経済評論家の上念司さんの用語)を計算しました。最低生存月額とは、私が生きているだけでかかる毎月のお金のことです。
私の場合は「保育料、食費、通信費、子ども被服費など」で、月に20万円ほどの負担があるとわかりました。そして、もし会社員を辞めても、現在の副業や貯金で2年くらいは最低生存月額を確保し、生きていけることも判明しました。
それによって、不安が1つ解消されたのです。
2. 自分のビジネス(自分業)をつくれるのか
私はかねてより、定年を迎えない人生のひとつとして「ヨガを教えることや文章を書くこと」などで、自分のビジネス(自分業)を持ちたいとぼんやり考えていました。ただ、「ずっと会社員だった私にできるのか?」という疑問がいつも頭の隅にありました。
そんなとき、脱サラした先輩たちに「逆にアラフォーの今だからできるのでは?」と言われて「ハッ!」としました。「60歳で新たな仕事や自分のビジネスにチャレンジするほうが難しいよ」とも言われ、その言葉が胸に刺さります。
そこで、「やりたい」「試行錯誤したい」という気持ちの源泉がある今のほうが、失敗からのリカバリーもしやすいとマインドセットし直しました。
そして、アラフォーから数年試行錯誤してみて、「やっぱり会社員がいい!」と思ったら、会社員に戻ることにしたのです。