
地頭だけでなく、性格にも違いがある
オトクサさんは、「性格の違いも含めて、地頭の違いを感じたことがある」と語ります。「特に違いを感じるのは、ものを教えたときのリアクションです。全部説明して理解できる子もいれば、少し説明すれば分かる子もいる。後者はいわゆる『地頭がいい』ということなんでしょう。あとは、暗記の得意・不得意の違いです。キーワード同士をひもづけるのが容易で、1問1答ではなくつなぎ合わせた回答ができると違いを感じますね」
しかし、オトクサさんは「これはあくまで自分が感じた地頭の違いで、より広い世界で見たらどう異なるかは分からない」と語ります。
「僕が感じた8人きょうだいの違いは、10段階ある地頭の違いのうち、9と8の差かもしれないし、9と1の差かもしれない。もしかすると1と2なのかも。
中学受験をしていると、『地頭がよくないから、毎日コツコツ努力して成果を出しました』と言う方がいます。一方で、『毎日努力できる時点で地頭がいい』と感じる家庭があるのも事実だと思います。人によって基準は異なると思います」
ハッパをかけるのも褒めるのも、比較が基準
地頭の違いを親が認識すると、子ども同士をつい比較してしまいそうです。オトクサさんはそれを悪いことと捉えておらず、「僕たちは比較をするのが当たり前」と語ります。「『この時期、上のお兄ちゃんはここまでやっていた』と勉強の進捗(しんちょく)具合を比較することもあるし、『それと比べたら、全然勉強が足りてないじゃん』と指摘することもありますね。もちろん褒めることもあって、『三男は社会科の暗記が得意だね』と伝えることも。子どもたちはそれをマイナスに受け取らず、『みんな違って当たり前』くらいのニュアンスで感じていると思います」
きょうだいで成績に差があると、どうフォローすべきか悩みます。特に受験シーズンになると、偏差値ばかり気にしてしまうケースも。オトクサさんは「子どもが努力できたかを見ていきたい」と語ります。
「きょうだい間で、志望校に合格できたかという結果の違いは今後必ず生じるはず。でもその違いを地頭のせいにするのは違う気がするんです。『ベースが違っても、目標に向かって努力する』のは全員同じ。だからこそ、どれだけ努力できたかを、親として見ていきたいですね」
100%の努力をして、知識が100だけ身に付く子と、30しか身に付かない子がいるのは自然のこと。それでもオトクサさんは、「100%努力する部分はみんなできるはずだから、頑張ろう」と呼びかけると言います。
しかし、努力の基準も人それぞれ。画一的な評価はなかなかできません。
「集中力が続かない子であれば、『これだけ精いっぱいやったんだから、今日はもう終わりにしよう』と判断することもあります。結果を出すために勉強時間を長くするのではなく、あくまで子どもの力に合わせるようにしています」
現在は、長男に続いて次男と三男も中学受験勉強中だと言うオトクサさん。
「もしあまり頑張らずに合格したとしても、僕は親としてあまり喜べないと思うんです。努力した結果を得ることが、子どもにとって一番大切なことなのではないでしょうか」