【2025年6月引退】さよなら、カシオペア! 豪華寝台特急の思い出を懐かしの写真とともに振り返る
豪華寝台特急「カシオペア」が2025年6月末についに引退する。唯一無二の車両、運行スタイル、こだわりのサービスなど、その歴史と魅力を2007年当時の写真とともに振り返る。
専用塗装のEF81形にけん引されて都内を走る「カシオペア」(2007年撮影)
豪華寝台特急として活躍した「カシオペア」が引退することとなった。北海道新幹線開業と引き換えに上野駅~札幌駅間の運行は終了したが、クルーズトレインとしてJR東日本管内を不定期に走っていた。しかし、車両の老朽化もあって、2025年6月末をもって、ついにその雄姿は消えることとなる。
今回は、惜しまれつつ引退する「カシオペア」の思い出を、懐かしい写真で振り返ってみたい。
1. 1編成しかない虎の子の12両
札幌駅を発車した「カシオペア」。最後尾が12号車ラウンジカー。列車の2階建て構造がよく分かる
「カシオペア」は専用のE26系客車12両によって編成されていた。動力のない客車なので機関車がけん引した(詳細は後述)。上野駅~札幌駅の所要時間は約16時間。毎日運行するには2編成必要だが、諸般の事情により1編成しか製作されなかったので、上野駅~札幌駅は2日で1往復、週3回の運行だった。繁忙期は曜日に関係なく1日おきの運行で往復していた。
そのため、チケット入手は困難を極め、ツアーでの申し込みが確実だった。日頃、団体旅行は好まず、単独での鉄道旅行が多い筆者でも、珍しくJR東日本の「びゅうツアー」を申し込み、夫婦での旅となった。
2. 寝台の基本は2人部屋
カシオペアツインの内部
「カシオペア」は大人気だった寝台特急「北斗星」のグレードアップ列車として企画された。したがって、オールA寝台の2人用個室が基本である。2階建て構造で、ヨーロッパのコンパートメント客車のように通路から個室に上って入る部屋と下って入る部屋が設けられていた。
各部屋には洗面台とトイレが備わっていて、シャワー室は6号車と10号車にあり、シャワー券(カード)を購入して利用する。より豪華なメゾネットタイプあるいは展望室タイプのカシオペアスイートの各部屋には専用のシャワーがあった。
寝台車内には狭い廊下があり、右側に2人部屋が2階建てで並ぶ
「カシオペア」の名称の由来は、星座のカシオペヤに由来する。オールダブルデッカー、オールダブル(2人用個室)を取り入れている客室が、W字を描くカシオペヤ座をイメージするからだと言われている。