恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」 第119回

万博への道は「動くパビリオン」だ! JRエキスポライナーの衝撃車内&ラッピング車両の魅力に迫る

大阪・関西万博へのアクセスは、鉄道が最も便利で魅力的だ。会場へ向かう多彩なルートと、個性豊かな車両を紹介。さらに、大阪・関西万博ラッピング車両の情報もお届けする。(画像:筆者撮影)

開催中の2025大阪・関西万博会場へのアクセスは鉄道が便利だ。複数のルートがあり、魅力的な車両も走っているので、改めて紹介してみたい。特に見逃せないのが、大阪・関西万博ラッピング車両である。

奇抜な風貌の大阪メトロ中央線で夢洲駅へ

万博会場の「東ゲート」に隣接する夢洲(ゆめしま)駅へは、Osaka Metro中央線が直結している。この路線は大阪市内を東西に横断している。

市中心部で多くの路線と接続するため、新大阪・梅田方面や天王寺・なんば・心斎橋方面からは、御堂筋線で本町駅に出て中央線に乗り換えるのが一般的だ。JR大阪環状線からは森ノ宮駅または弁天町駅で中央線に乗り換えが可能だ。本町駅から夢洲駅までは約20分、弁天町駅から夢洲駅までは約13分と、アクセスもスムーズである。
400系
「宇宙船」をイメージした近未来的スタイルの400系
中央線の東側では近鉄けいはんな線と直通運転を行っているため、近鉄の車両も乗り入れてくる。しかし、何と言っても目を引くのは、2023年から運行を始めたばかりの新型車両、中央線400系だろう。

その先頭部の形状は、「宇宙船」をイメージしてデザインされたという。この独創的なデザインを手掛けたのは、フェラーリやJR東日本の新幹線車両、豪華列車「TRAIN SUITE 四季島」のデザインも担当した奥山清行氏である。
クロスシート
400系の4号車にだけ設置されたクロスシート車両
地下鉄車両であるため、通常はロングシートだが、400系の4号車のみはクロスシートになっているのが特徴だ。ドアとドアの間に一人掛けシートが3列並び、夢洲駅に向かって右側が進行方向、左側が逆向きに配置されている。中央線は阿波座駅を出ると大阪港駅まで約5kmにわたって高架区間を走るため、窓外に広がる都市の風景を存分に楽しめるだろう。

「動くパビリオン」を演出するJRエキスポライナー

新大阪駅で新幹線を降りた後、万博会場へは地下鉄御堂筋線と中央線を乗り継ぐのが定番ルートだ。JRだけを使って行くのであれば、新大阪駅から東海道線で大阪駅へ、そこから大阪環状線で西九条へ進み、桜島線(JRゆめ咲線)に乗り換えて終点の桜島駅からバスで万博会場西ゲートに至る。乗り換えが複数回必要なため、西ゲートの方が比較的空いていると言われても、このルートを敬遠する人は少なくない。
エキスポライナー
新大阪駅から桜島駅に直行するエキスポライナー
しかし、本数は1時間に1本と限られているものの、新大阪駅から桜島駅まで直通する「エキスポライナー」は、その利便性だけでなく、車内の凝った演出も相まって、ぜひ一度は体験してほしい列車である。

新大阪を発車すると、停車駅は大阪駅、ユニバーサルシティ駅、そして終点の桜島駅のみ。新大阪駅から桜島駅まではわずか17分と、その俊足ぶりを誇る。

新大阪駅では、おおさか東線用の2番線から発車する。大阪駅は21番線で、これは2023年3月にうめきたエリアに開業した地下ホームのことだ。大阪環状線などの高架ホームからは5分以上歩くため、乗り換えの際には注意が必要である。
パレードトレイン
桜島方面の先頭車両は「パレードトレイン」
このエキスポライナーの特別車両は、桜島方面の先頭車両のみだ。他の車両とは外観が異なり、「パレードトレイン」と表示された華やかなラッピング車両となっている。
車内
LEDパネルがぎっしりの車内
新大阪駅を発車してすぐに淀川を渡ると、車内上部に設置された932枚ものLEDパネルに、鉄橋を渡る情景がリアルタイムで映し出される。さらに、中づり広告の位置にあるパネルには前面展望が流れ、まるで電車の側面が取り払われ、オープンカーでパレードしているかのような錯覚に陥るだろう。

うめきたへ向かう地下トンネルに入ると、映像は2025年から1970年へと歴史をさかのぼり、愛知万博やドイツ・ハノーファー万博など、過去の万博が次々と紹介される。あたかもタイムトンネルで時空を逆転して進んでいるかのようだ。

用意された映像コンテンツは多種多様で、座ってスマートフォンの画面ばかり見ているのはもったいないほどだ。まさに万博への期待を盛り上げる「動くパビリオン」列車と言える。
豊富なコンテンツで映像は飽きさせない
豊富なコンテンツで映像は飽きさせない
この先頭車両は、桜島駅に到着すると、すぐに段差なしの臨時改札口が目の前にあるため、降りてからの移動もスムーズだ。あとはシャトルバスに乗って西ゲートに向かうばかりである。複数回会場を訪れる予定なら、一度は乗ってみたいエキスポライナーのパレードトレインだ。ユニバーサルシティ駅にも停車するため、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)訪問の際にも利用できる。
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東海道新幹線、大阪モノレールなど、ラッピング車両あれこれ
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