ニコタマの隣「二子新地」駅には何がある? ローカル商店街と多摩川河川敷でスローライフを過ごせる街

東急田園都市線の“フタコ”といえば、誰もがまず思い浮かべるのは東京都サイドの「二子玉川(別称・ニコタマ)」。対して多摩川を挟んだ神奈川県の「二子新地」はいささか地味な印象ですが、降りると何があるのでしょうか。

東急田園都市線&大井町線で多摩川に面した駅は、東京都側の「二子玉川」と神奈川県側の「二子新地」の2つ。前者の二子玉川は有名施設「二子玉川ライズ」「玉川高島屋」などがある超人気タウンですが、それに対して二子新地はどうしてもマイナー感が否めません。

実際に二子新地駅周辺を散策すると、駅前や商店街はかなりコンパクトで、のんびりした雰囲気。その中にも普段使いしたくなる個人商店などが点在しており、多摩川河川敷の開放的な風景が美しく、ゆったりした魅力にあふれた街です。

二子新地駅の基本情報:家賃相場はいくら?

二子新地の写真
二子新地駅(筆者撮影、以下同)
二子新地駅周辺の家賃相場は駅徒歩10分以内、築年数10年以内でワンルームが約8.1万円、1LDKで約12.6万円、2LDKは約14.7万円。(SUUMO、2025年3月24日確認)。田園都市線中での家賃相場はほぼ中間で、二子玉川駅と比べると数千円ほど安め。川を1つ隔てただけで結構お得になりますね。

二子新地駅は1927年に玉川電気鉄道溝ノ口線(現在の田園都市線)に停留所として誕生し、1943年に鉄道駅へ昇格。江戸時代の頃は静かな田園地帯であり、そこに新しい歓楽街(関西圏の呼び方で「新地」)が開かれたことが駅名の由来になったそうです。

こじんまりとした駅前にも江戸時代からの歴史が

二子新地の写真
二子新地駅前はだいぶこざっぱり
二子新地駅の改札周りは、東急線のガード下に設けられたシンプルな構造。多摩川を挟んで反対側の二子玉川駅とは正反対の、のんびりとした空気が駅前にも流れています。
 
二子新地の写真
小さなベンチもあるので、ちょっとした休憩にも
改札の向かいには「富士ガーデン二子新地駅前店」があります。
 
二子新地の写真
駅前に限れば、富士ガーデンと合わせてある程度の商品はそろいます
また、駅と隣接する形でドラッグストア「ココカラファイン」も発見。ほかには駅の東西に1軒ずつある「まいばすけっと」や、駅東側の「ウェルシア」などを除けば、駅周辺に中規模の量販店は少なめの印象です。
 
二子新地の写真
旧街道沿いにはあちこちに歴史散策スポットも
駅の柱陰には「川崎歴史ガイド」として旧大山街道の案内看板がひっそりと立っています。二子新地駅から田園都市線に沿って続く道は、江戸時代には多摩丘陵(きゅうりょう)を登って丹沢(たんざわ)山地の大山まで続く道として利用され、多くの江戸庶民がここから大山へと参詣(さんけい)の旅に出たそうです。

駅の東西にコンパクトな商店街

二子新地の写真
昔は旅人が往来した道も、今では地域の人たちの生活路
二子新地で暮らすうえでは、駅の東西にある商店街を利用する機会が多くなるはず。旧大山街道にある西側商店街は、一軒家や低層の雑居ビルが並ぶなか、昔ながらの商店も点在していてのんびりした雰囲気です。
 
二子新地の写真
道幅の細さに対して車通りが若干多いのでご注意
また、反対側の駅東側にある商店街は、狭く湾曲した道の両側に飲食店や食料品店が並び、西側よりも活気ある印象でした。
 
二子新地の写真
駅から1分もかからない場所の本格イタリアン
駅周辺にはいくつか気になるお店も発見できました。例えばピッツェリア「Quale(クアーレ)」は窯焼きのローマピッツァや、お店オリジナルのクリームフォンデュが人気とのこと。南欧風の鮮やかな外観もすてきですね。
 
二子新地の写真
具材いっぱいの「シェフのサンドイッチ」も気になりますね…!
駅東側にあるベーカリー「Len(レン) -Local Speciality Factory-」があるのは雑居ビルの3階ですが、軽やかで食欲をくすぐるパンの香りがほのかに地上まで降りてきています。こちらのシェフは都内の有名ホテルやフレンチレストランで経歴を積んだ超実力派で受賞歴もあり、雑誌などのメディアで取り上げられることもあるのだとか。
 
二子新地の写真
見た目はほんと個性的ですが味わいは堅実
匂いにつられて入店し、クリームパンなどと迷いつつ、今回はキコリの竹炭ショコラ(税込345円)を購入しました。見た目が真っ黒でインパクトがありますが、味は正統派チョコパンといったところで、強過ぎず地味過ぎずのしっかりしたビター&甘味が味わえます。
 
二子新地の写真
晩酌のお供を探すならココ
また、「二子新地鮮魚店 魚市」では豊洲市場直送の新鮮魚介を扱っており、カップサイズにしたまぐろ中落ちなど、生食できる鮮魚商品3点を好きにチョイスできる「おつまみセット」(税込980円)も販売中。ほかにも青果・総菜・お菓子など販売しており、夕食のおかずからお酒のお供にまで幅広く対応してくれます。
 
二子新地の写真
今ではあまり見られなくなったタイプのお店も、この商店街では現役です
ほかには和の雰囲気がすてきなせんべい屋さんなど、ほかの商店街ではあまり見なくなったタイプの懐かしいお店も充実しています。
 
二子新地の写真
駅や高架からすぐ近くの道もかなり湾曲しています
また、駅前商店街から住宅街に入る小径は区画整理がされておらず、かなりの部分が昔のままの入り組み湾曲した姿を保っています。
 
ゆっくりとカーブする道の先へ進んだり、意外な場所へ出たり……ちょっとした迷路探索のような楽しみ方もできそうです。
次ページ
住宅街の一角で見つけた「岡本太郎」アート
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

編集部が選ぶおすすめ記事

注目の連載

  • ヒナタカの雑食系映画論

    『マインクラフト/ザ・ムービー』が、ゲーム原作映画として「大正解」を叩き出した3つの理由

  • 世界を知れば日本が見える

    なぜクルド人は「叩かれる」のか。日本の難民制度を「悪用」していると見られてしまうワケ

  • AIに負けない子の育て方

    教員の退職者増加の中、「ふきこぼれ教員」は日本の教育を改革する先駆者になれるのか

  • どうする学校?どうなの保護者?

    9割の保護者が「憂うつ」と答えたPTAクラス役員決め。ムリに役員をやらされないための1番の方法は?