「西国分寺駅」には何がある? 徒歩すぐで市役所&おしゃれ図書館に行ける、歴史スポットにあふれた街
JR中央線と武蔵野線が直行し、乗り換えでお世話になることが多い西国分寺駅。むしろ「乗り換え以外で利用したことがない」という人も少なくないかと思われますが、駅を降りた先の街中には何があるのか。この記事で詳しく紹介します!
階段を下った先の湧水&緑地でマイナスイオン補給
僧寺北東地域からすぐの所にある、くねった階段を下っていきます。この高低差は多摩川が長い年月で武蔵野(東京西部の古名)の台地を削り取って生まれた「国分寺崖線」というもので、崖線の長さは都内の立川市〜大田区まで30kmにも及ぶそうです。
階段の下、保存樹林地の脇にある湧き水は「
お鷹の道・真姿の池湧水群」として環境庁の「名水百選」に選定されています。ここの清流にはアブラハヤなど小魚も生息しており、湧水の清らかさがうかがえます。
水のせせらぎ、こもれび、虫や鳥のさえずりが大変に心地よく、人通りもさほど多くはないのでまさに癒しの環境。ウオーキングによさそうです。画板を持った小学生&先生の一団も見かけるなど、地域の子どもらにとっても自然教育の場として親しまれています。
西国分寺の改札前にあった「こくべじ」直売所を、ここでも発見。地元農家の本多さんが営む直売所で、朝採り野菜が安く買えるとあって地元住民に人気だそうです。秋らしく柿の直売もされていました。
しばらく「お鷹の道」を進みます。ここは尾張徳川家の御鷹場(おたかば)、つまり鷹を使った狩猟を行う場所として選定されていたことが名前の由来になっているそうで、ホタルも住んでいるとのこと。都内にホタルを見られる場所があるとは、何とも意外ですね……!
武蔵国分寺跡資料館に隣接するカフェも
「お鷹の道」をしばらく進んだところにあるのが「
武蔵国分寺跡資料館」。江戸時代に国分寺の名主であった本多氏の旧邸宅であり、国分寺重要文化財でもある住宅長屋を使用しており、「おたかの道湧水園」も併設しています。
武蔵国分寺跡からの出土品や資料を展示メインにしており、この地域に関する理解をグッと深められる場所です。入場料が税込100円というのもお得。
また、「
史跡の駅 おたカフェ」は、全国に約1600カ所ある「まちカフェ」の一つで、ここが資料館のチケット窓口も兼ねています。
和風屋根の建物+オープンテラスというのが何ともおしゃれで、犬とともに屋外ランチを楽しんでいる人もいました。無料で使える屋外の休憩所やコワーキングスペースもあり、ちょっとした息抜きにも軽作業にもおすすめです。
また、カフェからはカレーのいい香りが! 入ってみると1200〜1300円のランチセットがあったので、「鶏肉と野菜のスープカレー(1200円+大盛り100円)」を注文しました。
スープカレーは、深川飯のようにスープがあらかじめかかっている独特なスタイル。スパイシーなスープカレーと食べ応えある野菜がとてもおいしく、辛さも気にせずペロリといただけました。落ち着いた照明と木質のインテリアがシックなくつろぎ空間なのでおすすめです!
武蔵国分寺跡の広大な空間に歴史へのイメージが深まる
「お鷹の道」をしばらく進むと、立派な「国分寺楼門(ろうもん)」に遭遇。こちらは米津寺(東久留米市)の楼門を明治時代に移築したもので、武蔵国分寺とはルーツや年代が異なりますが、さまざまな時代の史跡が複層している西国分寺らしさを感じさせます。
そこから少し歩いた場所にあるのが、
武蔵国分寺跡の伽藍中枢部。昔はここに講堂や金堂など壮麗な建築が建っていたそうですが、現在はその名残もほとんどなく、武蔵国分寺公園のように大木とこもれびの穏やかな野原になっています。
武蔵国分寺跡を出て西方向へ少し歩いたところには、立派な柿の木が。西国分寺では歴史ある史跡と自然の緑・農地の緑がパッチワーク状に現れます。
武蔵国分寺跡以外にも歴史スポットがたくさん
もう一つおすすめなのが「
国分寺文化財資料展示室」。武蔵国分寺や関連史跡の歴史をコンパクトに紹介しており、武蔵国分寺を含む全国の「国分寺」から収集された古瓦(こが)コレクションなども展示されています。予約不要かつ入場無料で、展示室職員のご案内・解説がとても丁寧で面白く、小粒ながら良質な歴史ギャラリーです。
武蔵野線のガードをくぐったすぐ先にあるのが「
武蔵国分尼寺跡」。武蔵国分寺とセットで建立された寺院で、その名のとおり尼僧(女性)のためのお寺でした。こちらの金堂跡も、現在は土台などを残して野原と一体化しています。
武蔵国分尼寺跡の隣にある「
黒鐘公園」には(近年ではわりと珍しくなった)さまざまな遊具が並んでおり、親子向けレクリエーションの場として愛されています。ローラー滑り台は長い間故障していましたが、2024年7月末に修繕されて再び利用可能になったそうです。
黒鐘公園から北方向に進んだ先にある切り通しの歩道は「
伝鎌倉街道」。こちらも国指定の史跡として保存されている部分であり、住宅地や武蔵野線のすぐ近くとは思えないほどに繁った雑木林の谷間に歩道があります。
伝鎌倉街道を出た後の「
史跡通り」を歩いて、西国分寺駅へ戻ります。こちらの通りは史跡と直接関わりがあるわけではなく、駅から史跡に通じる道路であったことから自然と地元の人から「史跡通り」と呼ばれるようになったそうです。歴史ある史跡や住宅・商店が隣接している西国分寺らしいエピソードですね。