1979年に公開された『エイリアン』は「SFホラー」というジャンルの金字塔です。美しくも恐ろしい画作り、エイリアンのグロテスクな造形、そして恐怖演出まで、後継の作品に強い影響を与えています。
今回の『ロムルス』は、その『エイリアン』シリーズの通作7作目。本作がどういう人におすすめできるか、そもそもシリーズの魅力は何か、などについて「8つのポイント」から解説しましょう。
1:予備知識ゼロで楽しめる「入門」に最適な内容に
結論から申し上げれば、『エイリアン:ロムルス』は『エイリアン』シリーズを見たことがなくても全く問題ありません。物語はほぼ独立していますし、後述する要素それぞれの魅力が極限まで高められた、エンタメ性抜群のアクションホラー映画になっているのですから。
物語上で分かりにくい部分はごくわずか。たとえ「分からない」ことがあったとしても、その不可解さや謎がむしろ恐怖や娯楽性にもつながっているのです。
2:時系列は『1』と『2』の間! シリーズファンがニヤリとする内容に
今回の『ロムルス』の物語の時系列は、『エイリアン』1作目と『エイリアン2』の間であることを知っておくといいでしょう。付随して、シリーズを見ている人だとニヤリとできる小ネタやオマージュも備えており、時系列を踏まえるとより「なるほど!」と納得できる要素もあります。『エイリアン』入門にピッタリでありつつも、ファン向けのサービスもしっかりある、というバランスなのです。
また、2024年に制作された作品ながら、劇中のゴツゴツした機械などに「レトロフューチャー」的な魅力があり、それがやはり1980年代に作られたハリウッド映画を想起させるのもうれしいところ。それもそのはず、今作では『エイリアン2』の特殊効果チームを呼び寄せ、さらにはその後のVFX作業の基礎にもなった物理的なセット、クリーチャー、ミニチュアが可能な限り使用されていたりもするのです。
後述しますが、若者たちを中心に据えたのは『エイリアン2』での未公開シーンである「宇宙ステーションの廊下を子どもたちが走り回る様」が着想元になっていたり、2014年のゲーム『エイリアン:アイソレーション』が制作デザインに影響を与えたりもしていたのだとか。実際の本編からも、『エイリアン』シリーズへの愛情をたっぷり感じられるでしょう。