「軸」があれば、親子の対立やすれ違いが減る
さらに、受験軸があると、徐々にですが、他者の存在や外部のモノサシに親子ともに振り回されなくなるのです。【子ども】「同じクラスだったAちゃんは、クラスアップしたのに私は……」
【親】「Bくんは塾から帰ったあとも復習をしているのに、うちの子は怠けてばかり」
といった「他者ありき」の視点ではなく、「わが家の軸に沿って受験に取り組めているか」と考えられるようになるので、周りと比較して落ち込んだり、短期的な結果や成績不振に一喜一憂したりすることが少なくなります。
さらに、受験軸という一つの目的を共有することで、家族が同じ方向を向きやすくなります。すると、親子間のケンカが減っていくのです。
受験での親子ゲンカは、「なんで勉強を頑張れないの?」「なぜ、やる気を出せないの?」と、親から子どもに非難のベクトルが向き、親子が対立することで起こりがちですよね。目標もなく「ちょっとでもいいところへ」という思いで受験勉強を行うと、それを達成できない子どもを変えたくなり、子どもに注意したくなります。
そして、出口のないトンネルを走ることになり、子どもも親もフラストレーションがたまり、衝突も増えてしまうのです。
でも、「何のために受験するのか」「どう受験するのか」という「大きな目的(軸)」を家族で共有できれば、うまくいかない場合でも、子どもと一緒に立ち止まって広い視野でどうすればいいか考えることができます。
「自分たちで決めたゴールにどうやってたどり着いたらいいか」と考えることで、親子でのすれ違いも減っていくでしょう。
このように受験軸を持つと、出口が見えない中学受験の悩みからも解放されていくのです。
2024年8月22日発売の新刊『親子で勝ち取る最高の合格』(青春出版社)では、最高の結果を出す「受験軸のつくり方」や押さえておきたい最新中学受験事情のほか、中学受験を通して親子の信頼関係を築くために「親がやるべきこと、やってはいけないこと」などを解説しています。
子どもの成績が伸びなくて焦っている、やる気がない子どもにイライラするなど、中学受験のモヤモヤや悩みがある人は、ぜひ手に取ってみてくださいね。
この記事の執筆者:中曽根 陽子
数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストとして、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエーティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。お母さんが幸せな子育てを探究する学びの場「マザークエスト」も運営している。『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)など著書多数。