AIに負けない子の育て方 第11回

中学受験の難化で高い壁も。共働き家庭が、泥沼の受験にしないために知っておきたいこと

子どもの数は減っているのに加熱気味の中学受験。共働き家庭が増えている中、仕事と子どもの受験を両立し、やってよかったと思える受験にするために大切なことは何か。20年以上中学受験を見てきた筆者がお伝えします。

共働きでは無理? 「中学受験の壁」とは

どうする? 共働きの中学受験
どうする? 共働きの中学受験
2000年代前半までは、中学受験をするのは専業主婦の家庭が多く、主に母親が子どもの受験サポートを担ってきました。しかし、現在では約72%(1177万世帯)が共働き世帯(※)です。当然、中学受験を考える世帯でも共働きの割合は増えています。

共働きの世帯の中には、「中学受験は、親のサポートがかなり必要」という話を聞いて、「共働きで中学受験をさせることはできるのだろうか?」という不安を持ち、中学受験をきっかけに仕事を辞めるという人もいます。小1の壁ならぬ、「中学受験の壁」です。

しかし、本当に親が仕事を辞めてまでサポートしないと、中学受験はできないのでしょうか。
 
筆者は、これまで20年以上中学受験の世界を見てきました。最初は受験生の親として、その後は教育ジャーナリストという立場で塾や学校を訪れ、200校以上を取材し、校長先生や塾の有名講師への取材も行っています。また、合格体験インタビューや模試会場での講演会などを通して、受験生の親御さんにもお会いし、話を伺ってきました。

その中で感じるのは、むやみに始めると「この道」は1度ハマったらなかなか抜け出せない“沼”になりかねないということです。

子どもの成績に一喜一憂し、いつの間にかハマる受験沼

とりあえず子どもを塾に通わせてみたら、案外成績がよかった。そこから欲が出て、どんどん受験にのめり込んでしまった……という人もいれば、子どもの成績が芳しくなく、なんとか上のクラスに上げようと親の方が受験に必死になってしまったという人もいます。

もちろん、皆さん子どもの将来のためによかれと思ってやっているのですが、子どもの成績に一喜一憂し、知らぬ間に沼にハマってしまうのです。

その結果、子どもが受験勉強で疲弊して潰れてしまったり、親子関係が壊れたり、塾の勉強についていくために、さらに塾に通って、気が付いたら大金を注ぎ込んでいたり。さらには過酷な競争を勝ち抜き、なんとか高偏差値の学校に合格したものの、入学後にやる気を失い、成績不振に陥って荒れたり、逆に成績はよくても友達付き合いがうまくいかず、ストレスから身体症状が出てしまい学校に行かれなくなったり。第一志望の学校に落ちて、偏差値的に塾から勧められた学校に進学したものの、自分の性格と合わなくて、苦しくなってしまったり……そんなケースも珍しくありません。
 
えー、そんなに大変なら、中学受験をしない方がいいのかなと思われたかもしれませんが、もちろん「中学受験=絶対やらない方がいい」ということではありません。やってよかった!という人もたくさんいますから、安心してくださいね。

でも、そのようになってしまう危険性もあるということを知ったうえで、受験するのかしないのか、するならどんな受験にしていくのか、ちゃんと考えてほしいのです。

なぜなら、塾に行く生活が始まれば、送迎やお弁当作りなど家族の負担も増えます。中学受験の勉強は、小学校の勉強とは比較にならないほど難しいので、子どもに任せっぱなしでは、なかなかうまくいきません。家庭学習のサポートも必要です。兄弟がいれば、その子の生活にも影響が出るでしょう。両親ともに仕事をしていたら、2人で協力し、これらをこなさなくてはなりません。

だから、受験のために仕事を辞めるという決断をする人もいます。しかし、子どものためと思って始めたことが、自分のためになっていく危険性もあるので、注意が必要です。

中学受験を考えるうえで大切なのは、「わが家の受験軸」を決めることです。どんな受験にしていくのかを、夫婦でしっかり話し合うこと。その上で、子どもも交えて「わが家の軸」を決めてからスタートしましょう。

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受験を成功に導く「軸」の見つけ方
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