国産・中国産・インド産のはちみつをそろえてみた
それぞれ違うメーカーから3種類のはちみつを購入しました。比べるにあたりそろえた条件はこちらです。
・単一国(産地)のはちみつを選ぶ
はちみつ、複数ので採蜜されたものがブレンドされているものもあります。今回は特徴を調べるため、1つの国(国産の場合は1つの産地)で採蜜されたはちみつに絞りました。
なお、はちみつに「国産」と表示できるのは、100%国内で採蜜されたものだけ。海外産はちみつとブレンドしたものは「国産」にはなりません。
・「純粋はちみつ」を選ぶ
はちみつには加糖、加熱、精製など人の手が加わったものもありますが、今回選んだのは「純粋はちみつ」。無添加、非加熱のはちみつだけがパッケージに「純粋」と表示できます。
・「アカシアはちみつ」を選ぶ
はちみつは「どんな花から蜜を採ったか」で色や風味が変わります。ポピュラーなもので「レンゲ」「そば」「百花蜜」などがありますが、今回はスーパーでもよく見かける「アカシアはちみつ」を選びました。ちなみに「百花蜜」とは、いろいろな種類の花から採ったはちみつのこと。採った花によって風味が変わります。
国産(北海道産)はちみつの特徴は?
まずは国産(北海道産)のアカシア純粋はちみつ。160グラムで税込1360円と、一般的なはちみつに比べてやはり高価です。
色合いはほんのり黄色がかっていますが、色が薄く透明感があります。
先ほど「『国産はちみつの水分量は22%以下』という規定があるが、実際の検査結果では輸入はちみつと同様の20%以下になっている」と紹介しましたが、本商品に関していえば確かに粘度が少なくサラサラとしている印象です。上品さを感じる優しい甘みで、のど越しはスッキリ。はちみつを食べた時ののどが焼け付くような甘さが苦手な人に良いのではないでしょうか。また、今回は北海道産を選びましたが、日本国内の他の産地でもまた違いがあるかもしれません。
中国産はちみつの特徴は?
続いては中国産の純粋アカシアはちみつ。200グラムで税込602円と買いやすい価格です。パッケージの表面に「中国産」の文字はありませんが、裏面の原材料には「アカシアはちみつ(中国)」と書かれています。本記事のために複数のスーパーを回りましたが、中国産はちみつの場合、裏面だけの表示にしている商品が多く見られました。
先ほどの国産はちみつに比べ、黄色が濃く、粘度もやや強めです。
濃厚なコクがあり、こってりとした甘み。後味の余韻も強く、例えて言うなら喉の奥が焼けつくようなイメージです。
インド産はちみつの特徴は?
最後は「ヒマラヤンアカシア純粋はちみつ」。300グラムで1290円と、国産に続いて高価です。パッケージ裏面には「アカシアはちみつ(インド)」と表記されています。日本ではあまり見かけませんが、インドもはちみつ生産が盛んです。国際連合食糧農業機関(FAO)の資料によると2022年の天然はちみつ生産量は約7万4000トンで、世界上位10カ国に入ります。
本商品はインドの北西部で採取されたはちみつを使用しているそう。ヒマラヤ山脈の近くなので商品名にもなっているんですね。同じアカシア純粋はちみつですが、先ほどの2種類と比べて明らかに色合いが異なります。
カラメルのようなきれいな琥珀色。また、今回の3種類の中では最も粘度があり、もったりとしている印象です。ほのかに感じる香ばしさに、黒糖のような深み。後味はサラッとしていますが、喉の奥の方に余韻が残ります。
同じ花のはちみつでも産地や環境で違いが出る
並べてみると、色合いの違いがよく分かります。同じアカシアからのはちみつでも、産地や飼育環境などによってここまで変わるんですね。
国産のはちみつと中国産はちみつの違い。今回食べ比べた商品の場合、国産の方が淡い色合いで、マイルドな甘みのように感じられました。国産は生産量が少ない分、価格は高めですが、スッキリとした味わいが楽しめます。
最後に、卵と牛乳のみで作ったバゲットのフレンチトーストにそれぞれのはちみつをかけて食べてみました。国産はちみつは優しい甘みで素材を引き立てる印象が得られ、また中国産、インド産は甘みがあるからか、バゲットの塩味をやや強く感じられました。ぜひ一度はちみつの食べ比べを楽しんでみてはいかがでしょうか。
この記事の筆者:田窪 綾 プロフィール
調理師免許を持つフリーライター。約8年間のレストラン・キッチン勤務経験を生かし、食分野を主軸に活動中。飲食店&新商品取材、オーナーインタビュー、グルメコラムを中心に、「ツギノジダイ」「近代食堂」など複数メディアで執筆を行う。