アスリートの育て方 第12回

どうすれば子がトップアスリートに育つ? 元日本代表・城彰二の答え「正解は1つじゃないけれど…」

トップアスリートが「どんな親のもとで育ったのか」、そして「わが子をどんな教育方針のもとで育てているのか」について聞く連載【アスリートの育て方】。元サッカー日本代表で1男1女の父である城彰二に、子どもの教育方針について話を聞きました。

自分で考え、行動に移せる人に

その一方で、夢をつかみ取るには、「自分で考えること」が不可欠だとも力説する。自身がそうやって、考えながら成長してきたように。
 
「僕は、子育てに関してはほぼ妻任せで、息子と一緒にボールを蹴ったことも、たしか小さい頃に公園で3回くらい(笑)。本格的にサッカーを始めてからも技術的な指導をしたことは1度もありません。たまにサッカーに関する悩みを相談されますが、その時もいくつか道を示すだけで、答えは与えない。結局、自分で判断し、自分で行動しなければ、何事も自分のものにはならないんです。
 
お金がなければスーパーで安い食料を探すし、朝早く起きて新聞配達もするわけです(笑)。そうやって困ったり、悩んだりした時に、自分で考えて行動に移せる人になること。あとは、他人に思いやりを持てる人間になること。望むのはそれだけですね」

子どもと一緒に夢を追いかけるのはすてきだけど……

ただ、世の中には自分の子どもに必要以上に期待し、多くを望む親も少なくない。サッカースクールの現場でも、最近は熱心な保護者が多いと城は言う。
 
「親が子どもと一緒になって夢を追いかけるのは、すごくすてきなことだと思います。だけど、例えば何時間も一緒にビデオを観て、このプレーはこうだった、ああだったと指摘していたら、子どもは滅入ってサッカーを楽しめなくなってしまう。なんだって楽しいからこそ継続できるんですよね。僕も鹿実の練習は本当にきつかったけど、それでも辞めなかったのは、根っこの部分でサッカーを楽しんでいたからなんです」
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子どもがプロで成功するために親がやるべきことは?
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