水原氏の主張「大谷は私に『助ける』と言った」
その時の水原氏の発言は重要なので、ここにESPNの記事を引用したい。水原は、2023年初めまでに借金は400万ドルに膨れ上がり、その時点で大谷に助けを求めたとESPNに語った。大谷の信頼を失う恐怖と、誰かが彼の家にやって来るかもしれないという安全に対する恐れを感じたという。
「私の状況を(大谷に)説明した」と、水原は言う。「大谷はそれを聞いて気分を害したようだったが、大谷は私に『助ける』と言った」
大谷は、金を借りていた相手が賭博の胴元だと知っていたかと聞くと、水原は「全く知り得なかった」と答えた。「彼には借金を返済するために電信送金をする必要があるとだけ言った」と水原は言い、「彼はそれが違法かどうかを尋ねなかったし、そのことについて私に質問もしなかった」
水原は、大谷が借金の支払いに同意した後、2人で大谷の銀行口座にログインして、それから数カ月の間に、大谷のコンピューターから1回につき50万ドルの合計8回〜9回の取引を送ったという。彼らは送金の際に記入が求められる送金の理由欄に「ローン」と追加した。水原は、最終的な支払いは10月に行われたと推測している。
そしてこの後、ドジャースは韓国でサンディエゴ・パドレス戦に勝利。この後には違法賭博や借金の話が公になり、水原氏はドジャースから解雇された。ESPNの記事ではさらに、「『水原はパドレス戦後にロッカールームで、チームに向かってギャンブル依存症であることを告白し、賭博問題について謝罪した。ドジャースの編成本部長であるアンドリュー・フリードマンが立ち上がり、大谷が水原の借金を補填したと発言した』と、チームの役員やその場にいた関係者が認めている」と続く。
大谷選手は、事の顛末について「内容を認識していなかった」
だが、ここで話がややこしくなる。大谷の広報担当者によると、大谷選手は、ロッカールームで話された内容について、その後“ホテルに戻る途中”で周囲に質問をし始めたと語っている。その時に、大谷選手は水原氏が説明した事の顛末について「内容を認識していなかった」とも述べた。記事内では「大谷の代理人は状況に対処している間、水原を通じて大谷とのコミュニケーションを続けていたが、水原は大谷に何が起こっているかを伝えなかったという」と報じている。そしてドジャース側は、大谷選手が送金についてはその時まで知らなかったとし、大谷選手が水原氏からの「大規模な窃盗被害」に遭ったことを主張するようになった。大谷選手も記者会見を行い、「僕の口座からブックメーカーに送金を依頼したこともない」と主張している。
この矛盾した顛末を見ていると、どこかで誰かがうそをついていることになり、今のところ、すべて水原氏によるうそだったということで落ち着いているように見える。